刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 1208

乙:I've been sleeping a thousand years, it seems
Got to open my eyes to everything

 

出典:Evanescence – Bring Me to Life Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:本当に寝ていたのか不明。

 

今日の問題は、新司法試験平成23年民事系第59問2と4です。

 

2.貸主Xの借主Yに対する貸金返還請求訴訟において,Yの連帯保証人ZがYに補助参加した場合,Yが自白をしても,Zは,その自白に係る事実を争うことができる。
4.Xは,その所有する建物をYに賃貸し,Yは,Xの承諾を得てその建物をZに転貸した。その後,Xが,Yの債務不履行を理由にYとの建物賃貸借契約を解除したとして,Zに対し,建物の明渡しを求める訴えを提起した場合,Yは,Zに補助参加することができる。

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:おーぱっきゃまらーど。。

 

 

乙:2について、民事訴訟法45条2項は

 

「補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。」

 

と、規定しています。

 

 

4について、同法42条は

 

「訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。」

 

と、規定しています。

 

最決平成13年1月30日は

 

「3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
 (1)民訴法42条所定の補助参加が認められるのは,専ら訴訟の結果につき法
律上の利害関係を有する場合に限られ,単に事実上の利害関係を有するにとどまる
場合は補助参加は許されない(最高裁昭和38年(オ)第722号同39年1月2
3日第一小法廷判決・裁判集民事71号271頁参照)。そして,法律上の利害関
係を有する場合とは,当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は
法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいうものと解される。
 (2)【要旨】取締役会の意思決定が違法であるとして取締役に対し提起された
株主代表訴訟において,株式会社は,特段の事情がない限り,取締役を補助するた
め訴訟に参加することが許されると解するのが相当である。けだし,取締役の個人
的な権限逸脱行為ではなく,取締役会の意思決定の違法を原因とする,株式会社の
取締役に対する損害賠償請求が認められれば,その取締役会の意思決定を前提とし
て形成された株式会社の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼす
おそれがあるというべきであり,株式会社は,取締役の敗訴を防ぐことに法律上の
利害関係を有するということができるからである。そして,株式会社が株主代表訴
訟につき中立的立場を採るか補助参加をするかはそれ自体が取締役の責任にかかわる経営判断の一つであることからすると,補助参加を認めたからといって,株主の
利益を害するような補助参加がされ,公正妥当な訴訟運営が損なわれるとまではい
えず,それによる著しい訴訟の遅延や複雑化を招くおそれはなく,また,会社側か
らの訴訟資料,証拠資料の提出が期待され,その結果として審理の充実が図られる
利点も認められる。
 (3)これを本件についてみると,前記のとおり,本件は,抗告人の第48期及
び第49期の各決算において取締役らが忠実義務に違反して粉飾決算を指示し又は
粉飾の存在を見逃したことを原因とする抗告人の取締役らに対する損害賠償請求権
を訴訟物とするものであるところ,決算に関する計算書類は取締役会の承認を受け
る必要があるから(商法281条),本件請求は,取締役会の意思決定が違法であ
るとして提起された株主代表訴訟である。そして,上記損害賠償請求権が認められ
て取締役らが敗訴した場合には,抗告人の第48期以降の各期の計算関係に影響を
及ぼし,現在又は将来の取引関係にも影響を及ぼすおそれがあることが推認される
のであって,抗告人の補助参加を否定すべき特段の事情はうかがわれない。
 4 以上によれば,原審の前記判断には,法令の解釈適用を誤った違法があり,
この違法は裁判に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は理由があり,原決定は
破棄を免れない。そして,前記説示によれば,抗告人の補助参加を許可すべきであ
る。」

 

最判平成9年2月25日は

 

「  賃貸人の承諾のある転貸借においては、転借人が目的物の使用収益につき賃貸
人に対抗し得る権原(転借権)を有することが重要であり、転貸人が、自らの債務
不履行により賃貸借契約を解除され、転借人が転借権を賃貸人に対抗し得ない事態
を招くことは、転借人に対して目的物を使用収益させる債務の履行を怠るものにほ
かならない。そして、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終
了した場合において、賃貸人が転借人に対して直接目的物の返還を請求したときは、
転借人は賃貸人に対し、目的物の返還義務を負うとともに、遅くとも右返還請求を
受けた時点から返還義務を履行するまでの間の目的物の使用収益について、不法行
為による損害賠償義務又は不当利得返還義務を免れないこととなる。他方、賃貸人
が転借人に直接目的物の返還を請求するに至った以上、転貸人が賃貸人との間で再
び賃貸借契約を締結するなどして、転借人が賃貸人に転借権を対抗し得る状態を回
復することは、もはや期待し得ないものというほかはなく、転貸人の転借人に対する債務は、社会通念及び取引観念に照らして履行不能というべきである。したがっ
て、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸
人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請
求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了すると解するのが
相当である。
 これを本件についてみると、前記事実関係によれば、訴外会社と被上告人との間
の賃貸借契約は昭和六二年一月三一日、被上告人の債務不履行を理由とする解除に
より終了し、訴外会社は同年二月二五日、訴訟を提起して上告人らに対して本件建
物の明渡しを請求したというのであるから、被上告人と上告人らとの間の転貸借は、
昭和六三年一二月一日の時点では、既に被上告人の債務の履行不能により終了して
いたことが明らかであり、同日以降の転借料の支払を求める被上告人の主位的請求
は、上告人らの相殺の抗弁につき判断するまでもなく、失当というべきである。右
と異なる原審の判断には、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除によ
り終了した場合の転貸借の帰趨につき法律の解釈適用を誤った違法があり、右違法
は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。この点をいう論旨は理由があ
り、原判決中、上告人ら敗訴の部分は破棄を免れず、右部分につき第一審判決を取
り消して、被上告人の主位的請求を棄却すべきである。」

 

と、判示しています。

 

民法415条は

 

「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。」

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、2が誤りで、4が正しいです。

しほうちゃれんじ 1207

乙:Heavy thoughts sift through dust and the lies

 

出典:Linkin Park – From the Inside Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:shiftではなかった。

 

今日の問題は、新司法試験平成21年民事系第72問2,3,4,5です。

 

2.土地の工作物の占有者及び所有者を共同被告とする,その工作物の瑕疵を理由とする損害賠償請求訴訟において,原告の申出があれば,その弁論及び裁判は分離することができなくなる。
3.土地の共有者が提起する筆界の確定を求める訴えは,類似必要的共同訴訟であるから,これに同調しない共有者がいるときは,これを共同被告として訴えを提起することが許される。
4.土地所有権に基づく建物収去土地明渡しを請求する訴訟の係属中,建物所有者である被告が死亡した場合,訴訟代理人がいない限り訴訟手続は中断するが,その後,共同相続人の一部の者が訴訟手続を受継したとき,受継した者との間だけで審理,判決することは許されない。
5.共同相続人が,他の共同相続人のうちの一人のみを被告とし,遺産分割の前提として,被告が被相続人の遺言書を隠匿又は破棄した行為が相続欠格事由に当たることを理由に,相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは不適法である。

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:titivate..

 

 

乙:2について、民事訴訟法41条1項は

 

「共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。」

 

民法717条1項は

 

「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」

 

と、規定しています。

 

3の前段について、最判昭和46年12月9日は

 

「土地の境界は、土地の所有権と密接な関係を有するものであり、かつ、隣接する
土地の所有者全員について合一に確定すべきものであるから、境界の確定を求める
訴は、隣接する土地の一方または双方が数名の共有に属する場合には、共有者全員
が共同してのみ訴えまたは訴えられることを要する固有必要的共同訴訟と解するの
が相当である。
 本件において、上告人らは、福島県相馬市a字bcのd山林とこれに隣接する被
上告人所有の同市a字be番山林との境界の確定を求めるものであるが、右cのd
山林は上告人らと訴外Eほか一名の共有に属するにもかかわらず、右共有者のうち
本件訴訟の当事者となつていないものがあることは記録上明らかであるから、上告
人らの本件訴は当事者適格を欠く不適法なものといわなければならない。したがつ
て、右と同じ見解のもとに上告人らの本件訴を却下した原審の判断は正当である。」

 

と、判示しています。前段は誤りです。

 

後段について、最判平成11年11月9日は

 

「共有者のうちに右の訴えを提起することに同調しない者がいるときには、その余の共有者は、隣接する土地の所有者と共に右の訴えを提起することに同調しない者を被告にして訴えを提起することができるものと解するのが相当である。
 けだし、境界確定の訴えは、所有権の目的となるべき公簿上特定の地番により表
示される相隣接する土地の境界に争いがある場合に、裁判によってその境界を定め
ることを求める訴えであって、所有権の目的となる土地の範囲を確定するものとし
て共有地については共有者全員につき判決の効力を及ぼすべきものであるから、右
共有者は、共通の利益を有する者として共同して訴え、又は訴えられることが必要
となる。しかし、共有者のうちに右の訴えを提起することに同調しない者がいる場
合であっても、隣接する土地との境界に争いがあるときにはこれを確定する必要が
あることを否定することはできないところ、右の訴えにおいては、裁判所は、当事
者の主張に拘束されないで、自らその正当と認めるところに従って境界を定めるべ
きであって、当事者の主張しない境界線を確定しても民訴法二四六条の規定に違反
するものではないのである(最高裁昭和三七年(オ)第九三八号同三八年一〇月一五日第三小法廷判決・民集一七巻九号一二二〇頁参照)。このような右の訴えの特
質に照らせば、共有者全員が必ず共同歩調をとることを要するとまで解する必要は
なく、共有者の全員が原告又は被告いずれかの立場で当事者として訴訟に関与して
いれば足りると解すべきであり、このように解しても訴訟手続に支障を来すことも
ないからである。
 そして、共有者が原告と被告とに分かれることになった場合には、この共有者間
には公簿上特定の地番により表示されている共有地の範囲に関する対立があるとい
うべきであるとともに、隣地の所有者は、相隣接する土地の境界をめぐって、右共
有者全員と対立関係にあるから、隣地の所有者が共有者のうちの原告となっている
者のみを相手方として上訴した場合には、民訴法四七条四項を類推して、同法四〇
条二項の準用により、この上訴の提起は、共有者のうちの被告となっている者に対
しても効力を生じ、右の者は、被上訴人としての地位に立つものと解するのが相当
である。
 右に説示したところによれば、本件訴えを適法なものであるとし、被上告人B1
も被控訴人の地位に立つとした原審の判断は、正当として是認することができ、原
判決に所論の違法はない。」

 

と、判示しています。後段は正しいです。

 

4の前段について、民事訴訟法124条1,2項は

 

「次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。この場合においては、それぞれ当該各号に定める者は、訴訟手続を受け継がなければならない。
一 当事者の死亡
相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者
二 当事者である法人の合併による消滅
合併によって設立された法人又は合併後存続する法人
三 当事者の訴訟能力の喪失又は法定代理人の死亡若しくは代理権の消滅
法定代理人又は訴訟能力を有するに至った当事者
四 次のイからハまでに掲げる者の信託に関する任務の終了
当該イからハまでに定める者

イ 当事者である受託者
新たな受託者又は信託財産管理者若しくは信託財産法人管理人
ロ 当事者である信託財産管理者又は信託財産法人管理人
新たな受託者又は新たな信託財産管理者若しくは新たな信託財産法人管理人
ハ 当事者である信託管理人
受益者又は新たな信託管理人
五 一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの死亡その他の事由による資格の喪失
同一の資格を有する者
六 選定当事者の全員の死亡その他の事由による資格の喪失
選定者の全員又は新たな選定当事者
2 前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。」

 

と、規定しています。前段は正しいです。

 

後段について、最判昭和43年3月15日は

 

「 被上告人の被告Dに対する本訴請求が本件土地の所有権に基づいてその地上にあ
る建物の所有者である同被告に対し建物収去土地明渡を求めるものであることは記
録上明らかであるから、同被告が死亡した場合には、かりにEが同被告の相続人の
一人であるとすれば、Eは当然に同被告の地位を承継し、右請求について当事者の
地位を取得することは当然である。しかし、土地の所有者がその所有権に基づいて
地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する
訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではないと解すべきである。けだし、右の場
合、共同相続人らの義務はいわゆる不可分債務であるから、その請求において理由
があるときは、同人らは土地所有者に対する関係では、各自係争物件の全部につい
てその侵害行為の全部を除去すべき義務を負うのであつて、土地所有者は共同相続人ら各自に対し、順次その義務の履行を訴求することができ、必ずしも全員に対し
て同時に訴を提起し、同時に判決を得ることを要しないからである。もし論旨のい
うごとくこれを固有必要的共同訴訟であると解するならば、共同相続人の全部を共
同の被告としなければ被告たる当事者適格を有しないことになるのであるが、そう
だとすると、原告は、建物収去土地明渡の義務あることについて争う意思を全く有
しない共同相続人をも被告としなければならないわけであり、また被告たる共同相
続人のうちで訴訟進行中に原告の主張を認めるにいたつた者がある場合でも、当該
被告がこれを認諾し、または原告がこれに対する訴を取り下げる等の手段に出るこ
とができず、いたずらに無用の手続を重ねなければならないことになるのである。
のみならず、相続登記のない家屋を数人の共同相続人が所有してその敷地を不法に
占拠しているような場合には、その所有者が果して何びとであるかを明らかにしえ
ないことが稀ではない。そのような場合は、その一部の者を手続に加えなかつたた
めに、既になされた訴訟手続ないし判決が無効に帰するおそれもあるのである。以
上のように、これを必要的共同訴訟と解するならば、手続上の不経済と不安定を招
来するおそれなしとしないのであつて、これらの障碍を避けるためにも、これを必
要的共同訴訟と解しないのが相当である。また、他面、これを通常の共同訴訟であ
ると解したとしても、一般に、土地所有者は、共同相続人各自に対して債務名義を
取得するか、あるいはその同意をえたうえでなければ、その強制執行をすることが
許されないのであるから、かく解することが、直ちに、被告の権利保護に欠けるも
のとはいえないのである。そうであれば、本件において、所論の如く、他に同被告
の承継人が存在する場合であつても、受継手続を了した者のみについて手続を進行
し、その者との関係においてのみ審理判決することを妨げる理由はないから、原審
の手続には、ひつきよう、所論の違法はないことに帰する。」

 

と、判示しています。後段は誤りです。

 

 

5について、最判平成16年7月6日は

 

「 2 被相続人の遺産につき特定の共同相続人が相続人の地位を有するか否かの点
は,遺産分割をすべき当事者の範囲,相続分及び遺留分の算定等の相続関係の処理
における基本的な事項の前提となる事柄である。そして,共同相続人が,他の共同
相続人に対し,その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認
を求める訴えは,当該他の共同相続人に相続欠格事由があるか否か等を審理判断し
,遺産分割前の共有関係にある当該遺産につきその者が相続人の地位を有するか否
かを既判力をもって確定することにより,遺産分割審判の手続等における上記の点
に関する紛議の発生を防止し,共同相続人間の紛争解決に資することを目的とする
ものである。このような上記訴えの趣旨,目的にかんがみると,【要旨】上記訴え
は,共同相続人全員が当事者として関与し,その間で合一にのみ確定することを要
するものというべきであり,いわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。

 3 以上によれば,共同相続人全員を当事者としていないことを理由に本件訴え
を却下した原審の判断は,正当として是認することができる。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、2と5が正しく、3と4が誤りです。

しほうちゃれんじ 1206

乙:I know a place where we all can meet

 

出典:Electric Light Orchestra – All Over the World Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:placeは可算名詞。

 

 

今日の問題は、新司法試験平成20年民事系第65問3と4です。

 

Xは,甲土地上に設置されているブロック塀の一部が突然倒壊して頭部に当たり負傷したことから,甲土地を占有するY又は甲土地を所有するZのいずれかが,Xに生じた損害を賠償すべきであるとして,Y及びZを共同被告として訴えを提起し,同時審判の申出をした。この訴訟に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。 (中略)
3. Xは,Yに対する訴えのみを取り下げることができない。
4. 裁判所が,Yに対する請求を棄却し,Zに対する請求を認容する1個の判決をした場合において,Zのみが控訴したときは,この判決中,XのYに対する請求を棄却した部分は確定する 。

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:またどがす。。

 

乙:3と4について、民事訴訟法39条は

 

「共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。」

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、3が誤りで、4が正しいです。

しほうちゃれんじ 1205

乙:I'm gonna avoid the cliché

 

出典:Madonna – Die Another Day Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:clichéは使い古された警句のような意味。

 

今日の問題は、新司法試験平成19年第58問ウとオです。

 

ウ. AのBに対する売買代金の支払を求める訴訟において,BがAに対する貸金債権をもって相殺する旨の抗弁を主張している場合,AがBに対する請負代金債権をもって当該貸金債権と訴訟上相殺する旨の再抗弁を主張することは許される。
オ. BのAに対する貸金債権の支払を求める訴訟の係属中に,AのBに対する売買代金の支払を求める別訴が提起された場合,当該別訴において,Bが同一の貸金債権をもって相殺する旨の抗弁を主張することは許されない。

 

 甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:ぱとりもわぬがいねん。。

 

乙:ウについて、民事訴訟法114条2項は

 

「相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。」

 

と、規定しています。

 

 

最判平成10年4月30日は

 

「 1 被告による訴訟上の相殺の抗弁に対し原告が訴訟上の相殺を再抗弁として主
張することは、不適法として許されないものと解するのが相当である。けだし、(
一)訴訟外において相殺の意思表示がされた場合には、相殺の要件を満たしている
限り、これにより確定的に相殺の効果が発生するから、これを再抗弁として主張す
ることは妨げないが、訴訟上の相殺の意思表示は、相殺の意思表示がされたことに
より確定的にその効果を生ずるものではなく、当該訴訟において裁判所により相殺
の判断がされることを条件として実体法上の相殺の効果が生ずるものであるから、
相殺の抗弁に対して更に相殺の再抗弁を主張することが許されるものとすると、仮
定の上に仮定が積み重ねられて当事者間の法律関係を不安定にし、いたずらに審理
の錯雑を招くことになって相当でなく、(二)原告が訴訟物である債権以外の債権
を被告に対して有するのであれば、訴えの追加的変更により右債権を当該訴訟にお
いて請求するか、又は別訴を提起することにより右債権を行使することが可能であ
り、仮に、右債権について消滅時効が完成しているような場合であっても、訴訟外
において右債権を自働債権として相殺の意思表示をした上で、これを訴訟において
主張することができるから、右債権による訴訟上の相殺の再抗弁を許さないことと
しても格別不都合はなく、(三)また、民訴法一一四条二項(旧民訴法一九九条二
項)の規定は判決の理由中の判断に既判力を生じさせる唯一の例外を定めたもので
あることにかんがみると、同条項の適用範囲を無制限に拡大することは相当でない
と解されるからである。
 2 これを本件についてみると、手形(三)の債権を自働債権として不当利得返
還請求債権(一)(二)と相殺する再抗弁の主張は不適法であるから、不当利得返
還請求債権(一)(二)全額を自働債権として相殺の効果が生じ、これにより準消
費貸借金債権(一)(二)の全額が消滅すると解すべきであって、本件請求は理由
がないというべきである。」

 

と、判示しています。

 

オについて、最判平成3年12月17日は

 

「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟におい
て相殺の抗弁を主張することは許されないと解するのが相当である(最高裁昭和五
八年(オ)第一四〇六号同六三年三月一五日第三小法廷判決・民集四二巻三号一七
〇頁参照)。すなわち、民訴法二三一条が重複起訴を禁止する理由は、審理の重複
による無駄を避けるためと複数の判決において互いに矛盾した既判力ある判断がさ
れるのを防止するためであるが、相殺の抗弁が提出された自働債権の存在又は不存
在の判断が相殺をもって対抗した額について既判力を有するとされていること(同
法一九九条二頃)、相殺の抗弁の場合にも自働債権の存否について矛盾する判決が
生じ法的安定性を害しないようにする必要があるけれども理論上も実際上もこれを
防止することが困難であること、等の点を考えると、同法二三一条の趣旨は、同一
債権について重複して訴えが係属した場合のみならず、既に係属中の別訴において
訴訟物となっている債権を他の訴訟において自働債権として相殺の抗弁を提出する
場合にも同様に妥当するものであり、このことは右抗弁が控訴審の段階で初めて主
張され、両事件が併合審理された場合についても同様である。
 これを本件についてみるのに、原審の確定した事実関係は、次のとおりである。
すなわち、(一) 被上告人は、上告人に対し、右両名間の継続的取引契約に基づく
バトミントン用品の輸入原材料残代金等合計二〇七万四四七六円及びこれに対する
昭和五五年一〇月七日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求
めて本訴を提起し、(二) これに対し、上告人は、同六〇年三月一一日の原審第一一回口頭弁論期日において、本件原審と同一部である東京高等裁判所第一民事部で
併合審理中であった、上告人を第一審原告、被上告人を第一審被告とする同高裁同
五八年(ネ)第一一七五号、第一二一三号売買代金等請求控訴事件において、被上
告人に対して請求する売買代金一二八四万八〇六〇円及び内金一二三〇万八〇六〇
円に対する同五四年七月一四日から、内金五四万円に対する同年九月二六日から各
支払済みまで年六分の割合による遅延損害金請求権をもって、前記(一)の債権と対
当額で相殺する旨の抗弁を提出した。右事実関係の下においては、上告人の右主張
は、係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟にお
いて相殺の抗弁を主張するものにほかならないから、右主張は許されないと解する
のが相当である。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原
判決に所論の違法はない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、ウが誤りで、オが正しいです。

しほうちゃれんじ 1204

乙:It was over my head

 

出典:A Great Big World – Say Something Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:over my headは頭の上まで水が来ているイメージで、どうすることもできない状況。

 

今日の問題は、新司法試験平成21年民事系第69問2と3です。

 

次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし,前訴確定判決の既判力が後訴の請求に関する判断に作用しないもの(中略)
2.取得時効を認めて,甲土地が原告の所有であることを確認する前訴判決が確定した後に,前訴の被告が時効の中断を主張して,前訴の原告に対して,甲土地が前訴の被告の所有であることの確認を求めて提起した後訴
3.売買契約によって被告から甲土地を取得したことを理由に,原告の所有権移転登記手続請求を認める前訴判決が確定した後に,前訴の被告が前訴の原告に対して,当該売買契約に錯誤があったとして,甲土地が前訴の被告の所有であることの確認を求めて提起した後訴

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:ねぎだくぎゅうどん。。

 

乙:2について

 

「前訴判決と後訴の訴訟物が矛盾対立関係にある場合とは、(中略)XのYに対する所有権確認請求で敗訴した被告Yが同一物の所有権確認請求でXに対して再訴する場合とかがその例である。訴訟物すなわち訴訟上の請求は、後者の例で言えば、前訴ではXのYに対する所有権確認請求であり後訴ではYのXに対する所有権確認請求であって主体がXとYというように異なるので、これらを訴訟物同一とは考えず矛盾対立関係とするのが今日の通常の理解である。既判力が働くため、原則として後訴は請求棄却となる。」

 

 高橋宏志『重点講義 民事訴訟法 上〔第2版補訂版〕』595頁

 

 

3について

 

「判決理由中の判断には既判力が生じないという立場を日本法は採ったのである。が、しかし、この規律は、やや行き過ぎの面がないでもない。たとえば所有権に基づく登記請求、妨害排除請求などにあっても、訴訟上の請求は登記請求権、妨害排除請求権でありそこには既判力を生ずるが、これらの訴訟の主たる争点である所有権については判決理由中の判断であって既判力を生じないことになるからである。」

 

同631頁

 

 

したがって、上記記述は、2は作用し、3は作用しません。

しほうちゃれんじ 1203

乙:Tell me how does it feel
When your heart grows cold

 

出典:New Order – Blue Monday Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:does itを使う疑問文は難しい。例えばHow long does it take to get to the airport?(自信ない)

 

今日の問題は、新司法試験平成20年第69問1,2,3,4です。

 

 XはYに対して,甲土地の所有権の確認を求める訴えを提起し,その判決が確定したとする(以下この判決を「前訴判決」という 。)。(中略) 
1. 前訴判決がXの請求棄却であったとする。XがYに対して甲土地の所有権の確認を求める後訴を提起することは,前訴判決の既判力に触れるので却下される。
2. 前訴判決がXの請求棄却であり,その理由がYが甲土地の所有者であるという判断に基づいていたとする。YのXに対する甲土地の所有権の確認を求める後訴でXが前訴判決基準時におけるYの所有権を争うことは,いわゆる一物一権主義により既判力によって妨げられる。
3. 前訴判決がXの請求認容であったとする。XがYに対して甲土地の所有権の確認を再度求める後訴は,前訴判決の既判力に抵触するとの理由で却下されることはない。
4. 前訴判決がXの請求認容であったとする。その後Xから甲土地を借り受けたZが債権者代位権の行使としてYに対して甲土地の引渡しを求めたときには,Yは前訴判決基準時におけるXの所有権の存在と矛盾しない攻撃防御方法のみ提出できる。

 

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

 

甲:証券コード:IVZ。。

 

乙:1について、民事訴訟法114条1項は

 

「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」

 

と、規定しています。

 

「訴訟物同一の場合としては、まず、前訴のたとえば、金一〇〇〇万円の支払請求、または或る土地の所有権確認請求で敗訴した原告が、再び同一の請求を掲げて訴えを提起してきた場合を考えることができる。これは、請求棄却判決の既判力の消極的作用により後訴も再び請求棄却となる。もっとも、後述の既判力の時的限界の問題があるので、前訴判決の標準時後に実体関係が動いていれば、その新事由を判断に加えて本案判決をすることになる」

 

高橋宏志『重点講義 民事訴訟法 上〔第2版補訂版〕』594頁

 

2について

 

「判決主文つまり訴訟上の請求(訴訟物)以外には既判力は生じないということ、裏から言えば、裁判所が下した判断であっても判決理由中の判断には既判力が生じない、ということである。」

 

同629頁

 

3について

 

「前訴で勝訴していた原告が同一訴訟物で再び訴えを提起してくる場合は多少屈折する。この場合には、既判力の作用を考える前に、後訴に訴えの利益があるかがまず問題となる。原則として、既に勝訴判決を得ている以上、後訴には訴えの利益がない。」

 

同595頁

 

 

4について

 

「既判力の生じた判断に反する主張・証拠申出を当事者がすることは許されず、裁判所も既判力に反した当事者の主張を採りあげず、証拠申出も排斥する」

 

同593頁

 

 

したがって、上記記述は、1と2が誤りで、3と4が正しいです。

しほうちゃれんじ 1202

乙:Sometimes I need to remember just to breathe

Sometimes I need you to stay away from me

 

出典:Linkin Park – Don't Stay Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:need toの使い方の勉強。

 

今日の問題は、平成20年新司法試験第70問1と4です。

 

1. 請求の放棄は,原告が訴訟外で請求に理由のないことを認めている場合にも成立し,そのことを被告が訴訟において証明したときは,放棄調書の作成により訴訟が終了する。
4. 人事訴訟である離縁の訴えにおいても,請求の放棄及び認諾は許される。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:groin..

 

乙:1について、民事訴訟法261条3項は

 

「訴えの取下げは、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)においては、口頭ですることを妨げない。」

 

同法266条1項は

 

「請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする。」

 

民事訴訟規則95条2項は

 

「訴えの取下げ並びに請求の放棄及び認諾は、進行協議期日においてもすることができる。」

 

と、規定しています。

 

4について、人事訴訟法44条は

 

「第三十七条(第一項ただし書を除く。)の規定は、離縁の訴えに係る訴訟における和解(これにより離縁がされるものに限る。)並びに請求の放棄及び認諾について準用する。」

 

同法37条1項は

 

「離婚の訴えに係る訴訟における和解(これにより離婚がされるものに限る。以下この条において同じ。)並びに請求の放棄及び認諾については、第十九条第二項の規定にかかわらず、民事訴訟法第二百六十六条(第二項中請求の認諾に関する部分を除く。)及び第二百六十七条の規定を適用する。ただし、請求の認諾については、第三十二条第一項の附帯処分についての裁判又は同条第三項の親権者の指定についての裁判をすることを要しない場合に限る。」

 

同法19条2項は

 

「人事訴訟における訴訟の目的については、民事訴訟法第二百六十六条及び第二百六十七条の規定は、適用しない。」

 

民事訴訟法267条は

 

「和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。」

 

民法811条1項は

 

「縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。」

 

同法763条は

 

「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。」

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、1が誤りで、4が正しいです。