刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 1270

乙:I get cold the second you go


出典:XY&O – Fahrenheit Lyrics | Genius Lyrics


感想:catch a coldで風邪をひくという意味らしい。



今日の問題は、司法試験平成24年民事系第52問ウとエです。


ウ.判例によれば,売買契約の目的物に生じていた瑕疵が直ちに発見することのできないものである場合には,受領後6か月以内にその瑕疵を発見して直ちに通知を発すれば,その瑕疵を理由とする損害賠償請求権について,瑕疵担保責任に関する民法上の除斥期間の規定は,適用されなくなる。

エ.買主が売買の目的物の受領を拒んだ場合には,売買契約は,直ちに解除されたものとみなされる。



甲先生、よろしくお願いします!



甲:ウについて、商法526条は


商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。

2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。

3 前項の規定は、売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない。


と、規定しています。



最判平成4年10月20日は


 商法五二六条は、商人間の売買における目的物に瑕疵又は数量不足がある場合に、買主が売主に対して損害賠償請求権等の権利を行使するための前提要件を規定したにとどまり、同条所定の義務を履行することにより買主が行使し得る権利の内容及びその消長については、民法の一般原則の定めるところによるべきである。したがって、右の損害賠償請求権は、民法五七〇条、五六六条三項により、買主が瑕疵又は数量不足を発見した時から一年の経過により消滅すると解すべきであり、このことは、商法五二六条の規定による右要件が充足されたこととは関わりがない。そして、この一年の期間制限は、除斥期間を規定したものと解すべきであり、また、右各法条の文言に照らすと、この損害賠償請求権を保存するには、後記のように、売主の担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げることをもって足り、裁判上の権利行使をするまでの必要はないと解するのが相当である。

 これを本件についてみるのに、原審の確定したところによれば、被上告人は昭和五四年一二月末ないし翌五五年一月初めに、本件売買目的物に瑕疵があることを知ったものであるところ、その瑕疵があったことに基づく損害賠償を求める本訴を提起したのは、右の最終日から一年以上を経過した昭和五八年一二月七日であったことが記録上明らかである。そうすると、除斥期間の経過の有無について何ら判断することなく、被上告人の請求を認容すべきものとした原判決には理由不備の違法があり、原判決はこの点において破棄を免れない。そして、右に説示したところによれば、一年の期間経過をもって、直ちに損害賠償請求権が消滅したものということはできないが、右損害賠償請求権を保存するには、少なくとも、売王に対し、具体的に瑕疵の内容とそれに基づく損害賠償請求をする旨を表明し、請求する損害額の算定の根拠を示すなどして、売主の担保責任を問う意思を明確に告げる必要がある。


と、判示しています。



エについて、商法524条1項は


「商人間の売買において、買主がその目的物の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、売主は、その物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。この場合において、売主がその物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、買主に対してその旨の通知を発しなければならない。


と、規定しています。



したがって、上記記述は、ウもエも誤りです。

しほうちゃれんじ 1269

乙:Light comes above the river


出典:The Knocks – Modern Hearts Lyrics | Genius Lyrics


感想:aboveは接触しない上のイメージでしょうか。接触しているとonな気がします。



今日の問題は、新司法試験平成21年民事系第52問1です。


判例によれば,商人間の売買において,買主が目的物に直ちに発見することのできない瑕疵があることを目的物受領後6か月以内に発見し,直ちに売主に対してその旨の通知を発したとしても,買主は,売主に対し,代金の減額を請求することはできない。


甲先生、よろしくお願いします!



甲:商法526条は


「商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。

2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。

3 前項の規定は、売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない。


と、規定しています。



最判昭和29年1月22日は


 売買の当事者双方が商人である、いわゆる商事売買の場合でも、売買の目的物の瑕疵又は数量の不足を理由として、契約を解除し、又は損害賠償若しくは代金の減額を請求するのは、民法の売買の規定に依拠すべきものである。しかして、民法の規定によれば、買主が売買の目的物に瑕疵あることを理由とするときは、契約を解除し、又は損害賠償の請求をすることはできるけれども、これを理由として代金の減額を請求することはできない。商法五二六条は以上民法で認められた売買の担保責任に基く請求権を保存するための要件に関する規定であつて、民法の規定するところ以外に新な請求権をみとめたものではないのである。


と、判示しています。



したがって、上記記述は、正しいです。

しほうちゃれんじ 1268

乙:I know that I'm rich enough for pride, I see a billion dollars in your eyes

Even if we’re strangers 'til we die


Galantis – Runaway (U & I) Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:enoughは何となく使いづらい単語。


今日の問題は、司法試験平成26年民事系第53問アとイです。


次のアからオまでの各債権のうち,判例の趣旨によれば商法第522条の適用又は準用がないもの(中略)

ア.商行為によって生じた債務の不履行に基づく損害賠償請求権

イ.債権者のためには商行為ではなく,債務者のためにのみ商行為である行為によって生じた債権


甲先生、よろしくお願いします!



甲:アとイについて、商法522条は


「商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。


と、規定しています。


アについて、大判明治41年1月21日は


債務者カ債務ヲ履行セサルニ因リ債権者ノ有スル損害賠償ノ請求権ハ債権ノ効力ニ外ナラスシテ唯本来ノ債権カ其形ヲ変シタルニ止マリ別箇ノ債権ヲ成スモノニ非サレハ本来ノ債権ニシテ商行為ニ因リ生シタルモノナルニ於テハ損害賠償ノ請求権モ亦然ラサルヲ得ス而シテ上告人カ本訴ニ於テ主張スル損害賠償ノ請求権ハ被上告人カ当事者間ノ松材売買ニ基ク債務ヲ履行セサルニ起因スルモノニシテ其売買ノ商行為タルコトハ争ナキ事実ナレハ其請求権ハ之ヲ商行為ニ因リテ生シタル債権ナリト謂ヒ得ヘキコト前段説明ノ如クナルヲ以テ其消滅時効ニ関シテハ商法第二百八十五条ノ規定ヲ適用スヘキハ当然ナリ仍テ本論旨モ亦理由ナシ况ンヤ損害賠償ノ請求権カ時効ニ因リ消滅シタルコトハ原判決ノ判示セサル所ニシテ原判旨ニ副ハサルノ論旨ナルニ於テヲヤ


と、判示しています。



イについて、大判大正4年2月8日は


「当事者ノ一方ノ為メニ商行為タル行為ニ付テハ商法ノ規定ヲ双方ニ適用スヘキモノナルコトハ商法第三条ノ規定ニ依リテ明カナリ而シテ原裁判所ノ確定スル所ニ依レハ被上告人ハ本件消費貸借当時商人ニシテ其行為ハ被上告人ノ為メニ商行為ト看做サルヘキモノナルヲ以テ原裁判所ニ於テ商法第二百八十五条ノ規定ヲ当事者双方ニ適用シ本件消費貸借ニ基ク債権カ五年ノ時効ニ因リテ消滅シタルモノト判示シタルハ洵ニ相当ト謂ハサルヲ得ス是レ本院判例ノ認ムル所ナリ(明治四十三年(オ)第四〇四号事件同年三月二十四日言渡ノ判決参照)上告人ハ商法第二百八十五条ニハ「商行為ニ因リテ生シタル債権」トアルヲ以テ同条ハ債権者ノ為メニ商行為タル場合ニハ適用スルコトヲ得ルモ本件ノ如ク債務者ノ為メニノミ商行為ニシテ債権者ノ為メニ商行為ニアラサル場合ニハ之ヲ適用スルコトヲ得ルモノニアラスト主張スレトモ元来債権ト謂ヒ債務ト称スルハ決シテ二箇ノ異ナリタルモノヲ指称スルニアラス単一ナル法律関係ヲ権利者ノ方面ヨリ観テ債権ト謂ヒ義務者ノ方面ヨリ観テ債務ト称スルニ過キス従テ商法各条ニ商行為ニ因リテ生シタル債権或ハ債務ト記載アルハ単ニ各場合ニ於ケル字句ノ都合ニ依リタルモノニ過キスシテ敢テ其文字ニ重キヲ置キタルモノト認ムルヲ得ス例ヘハ時効ニ罹ルモノハ権利ナルヲ以テ商法第二百八十五条ノ場合ニハ商行為ニ因リテ生シタル債務ト謂ハスシテ債権ト称シタルモ履行ノ如キ場合ニハ債務ノ履行ト謂フヲ適当トスルヲ以テ同法第二百七十八条ニハ「商行為ニ因リテ生シタル債務」ト記載シタルモノト解スヘキカ如シ若シ上告人主張ノ如ク商法ノ規定中「商行為ニ因リテ生シタル債権」トアルハ債権者ノ為メニ商行為タル場合ニ適用スヘク債務者ノ為メニノミ商行為タル場合ニ之ヲ適用スルコトヲ得ス又「商行為ニ因リテ生シタル債務」トアル規定ハ債務者ノ為メニ商行為タル場合ニ適用スヘク債権者ノ為メニノミ商行為タル場合ニ之ヲ適用スルコトヲ得サルモノト解センカ債権者ノ為メニノミ商行為タル場合ニハ商法ノ規定中例ヘハ第二百八十五条ノ如キハ之ヲ適用スルコトヲ得ルモ第二百七十六条第二百七十八条ノ如キハ之ヲ適用スルコトヲ得サルヘク又之ニ反シ債務者ノ為メニノミ商行為タル場合ニハ第二百七十六条、第二百七十八条ノ如キハ之ヲ適用スルコトヲ得ルモ第二百八十五条,第二百七十七条ノ如キ規定ハ之ヲ適用スルコトヲ得サル結果ト為ルヘシ然レトモ斯クノ如キ解釈ハ商法ノ精神ニ適合セサルモノト認ム又上告人ハ本件ノ如キ場合ニ商法第二百八十五条ヲ適用スヘキモノトセハ商人ニ非サル数人カ共同シテ商人ヨリ金員ヲ借入レタル場合ニモ商法第二百七十三条第一項ノ規定ヲ適用シ当然連帯債務ヲ生スルニ至ルヘシト主張スレトモ商法第二百七十三条第一項ノ規定ハ債務者ノ中孰レカ一人ノ為メニ商行為タル場合ニ限リ連帯債務ヲ生スルコトヲ規定シタルモノニシテ債権者ノ為メニ商行為タル場合ニモ連帯関係ヲ生スルコトヲ規定シタルモノニアラス即チ同条ノ規定ハ当事者ノ或一方(債務者)ノ為メニ商行為タルコトヲ前提トシテ設ケタル規定ニシテ其行為カ其一方ノ為メニ商行為タラサル以上ハ其行為ニ付キ之ヲ適用スヘキ趣旨ニアラサルヲ以テ同条ハ此範囲ニ於テ商法第三条ノ例外ヲ為スモノト謂フコトヲ得ヘク前例ノ如キ場合ニ於テハ右第二百七十三条第一項ヲ適用スヘキモノニアラス(明治四十四年(オ)第三〇七号事件明治四十五年二月二十九日言渡ノ判決参照)之ヲ要スルニ原裁判所カ本件債権ニ付キ商法第二百八十五条ヲ適用シタルハ正当ニシテ本件上告ハ其理由ナキモノト認ム


と、判示しています。



したがって、上記記述は、アとイについて、商法第522条の適用があります。

しほうちゃれんじ 1267

乙:You shine in a sea of people

 

出典:Khruangbin & Leon Bridges – C-Side Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:人の海の中で輝いている。

 

 

今日の問題は、司法試験平成24年民事系第53問イとウです。

 

イ.匿名組合員及び合資会社の有限責任社員は,営業者又は合資会社の業務を執行することができる。

ウ.匿名組合員及び合資会社の有限責任社員は,重要な事由があるときは,いつでも,裁判所の許可を得て,営業者又は合資会社の業務及び財産の状況を検査することができる。



甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:イについて、会社法590条1項は


社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。


商法536条3項は


匿名組合員は、営業者の業務を執行し、又は営業者を代表することができない。


と、規定しています。



ウについて、商法539条2項は


「匿名組合員は、重要な事由があるときは、いつでも、裁判所の許可を得て、営業者の業務及び財産の状況を検査することができる。


会社法592条1項は

 

業務を執行する社員を定款で定めた場合には、各社員は、持分会社の業務を執行する権利を有しないときであっても、その業務及び財産の状況を調査することができる。」 

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、イもウも誤りです。

しほうちゃれんじ 1266

乙:As desire passes through, then you're open to the truth

 

出典:The Last Shadow Puppets – Standing Next to Me Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:asの使い方に慣れたい。

 

 

今日の問題は、予備試験平成27年商法第28問イとウとエです。

 

 

イ.保証人がある場合において,債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるときは,主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときでも,その債務は,各自が連帯して負担する。
ウ.商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは,その他人が商人であるか否かにかかわらず,相当な報酬を請求することができる。

エ.商行為によって生じた債務に係る債権が指図債権である場合でも,その債務の履行をすべき場所がその行為の性質又は当事者の意思表示によって定まらないときは,その債務の履行は,債権者の現在の営業所においてしなければならない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:イについて、商法511条2項は

 

 「保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、又は保証が商行為であるときは、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、その債務は、各自が連帯して負担する。」

 

と、規定しています。

 

 

ウについて、商法512条は

 

 「商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。」

 

と、規定しています。

 

 

エについて、商法516条2項は

 

「指図債権及び無記名債権の弁済は、債務者の現在の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)においてしなければならない。」

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、イとウが正しく、エが誤りです。

しほうちゃれんじ 1265

乙:'Cause we all get lost sometimes, you know?

It's how we learn and how we grow

 

出典:Major Lazer – Cold Water Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:get lostで道に迷うという意味でしょうか。

 

 

今日の問題は、新司法試験平成19年民事系第50問アとイとウとオです。

 

A株式会社がB信用金庫の組合員である場合について(中略)

ア. B信用金庫がA株式会社に対し事業資金を融資するために消費貸借契約を締結した場合においては,B信用金庫のA株式会社に対する元利金支払請求権の消滅時効期間は5年である。

イ. B信用金庫がA株式会社に対し事業資金を融資するために消費貸借契約を締結した場合において,B信用金庫に対するA株式会社の債務を商人でないC(自然人)が保証した場合には,当該保証は連帯保証となる。

ウ. B信用金庫がA株式会社から第三者振出しの約束手形の取立委任を受けて占有しているときは,B信用金庫は,B信用金庫がA株式会社に対し事業資金を融資するために締結した消費貸借契約に基づくA株式会社に対する元利金支払請求権を被担保債権として,この約束手形について商事留置権を有する。

オ. B信用金庫とA株式会社との間に当座勘定取引が行われているときは,当該取引は商法にいう交互計算契約に該当し,いわゆる交互計算不可分の原則の適用がある。


 

 甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:アについて、商法522条本文は


商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。


会社法5条は


会社(外国会社を含む。次条第一項、第八条及び第九条において同じ。)がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする。


と、規定しています。



イについて、最判昭和63年10月18日は

 

「  信用金庫法に基づいて設立された信用金庫は、国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資するために設けられた協同組織による金融機関であり、その行うことのできる業務の範囲は次第に拡大されてきているものの、それにより右の性格に変更を来しているとはいえず、信用金庫の行う業務は営利を目的とするものではないというべきであるから、信用金庫は商法上の商人には当たらないと解するのが相当である(最高裁昭和四六年(オ)第七八一号同四八年一〇月五日第二小法廷判決・裁判集民事一一〇号一六五頁参照)。そして、信用金庫の行うことのできる業務の性質が右のとおりである以上、特定の取引行為についてだけ信用金庫が商人に当たると解することもできないというべきである。したがつて、商事留置権の成立を否定した原審の判断は正当として是認することができる。」

 

と、判示しています。

 

 

会社法5条は

 

「会社(外国会社を含む。次条第一項、第八条及び第九条において同じ。)がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする。」

 

 

商法511条2項は

 

「保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、又は保証が商行為であるときは、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、その債務は、各自が連帯して負担する。」

 

と、規定しています。



ウについて、商法521条本文は


「商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる。


と、規定しています。



最判昭和63年10月18日は


  信用金庫法に基づいて設立された信用金庫は、国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資するために設けられた協同組織による金融機関であり、その行うことのできる業務の範囲は次第に拡大されてきているものの、それにより右の性格に変更を来しているとはいえず、信用金庫の行う業務は営利を目的とするものではないというべきであるから、信用金庫は商法上の商人には当たらないと解するのが相当である(最高裁昭和四六年(オ)第七八一号同四八年一〇月五日第二小法廷判決・裁判集民事一一〇号一六五頁参照)。そして、信用金庫の行うことのできる業務の性質が右のとおりである以上、特定の取引行為についてだけ信用金庫が商人に当たると解することもできないというべきである。したがつて、商事留置権の成立を否定した原審の判断は正当として是認することができる。


と、判示しています。


オについて


「当座勘定取引も交互計算の一種であるが,期間中の顧客からの入金及び顧客が振り出した手形・小切手による金融機関の支払をその都度自動的に相殺することから,商法上の交互計算とは異なり,交互計算不可分の原則は適用されない。」

 

辰已法律研究所『平成28年版 肢別本5 民事系商法』507頁


 

したがって、上記記述は、アとイが正しく、ウとオが誤りです。

しほうちゃれんじ 1264

乙:When you come to mind
Disappear a thousand times

 

出典:Liam Gallagher – One of Us Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:come to mindで思いつくという意味らしい。

 

 

今日の問題は、司法試験平成25年民事系第52問イとオです。

 

イ.商行為の委任による代理の場合であっても,代理権は,本人の死亡によって消滅する。

オ.判例の趣旨によれば,会社法第423条第1項に基づく株式会社の取締役に対する損害賠償請求権は,商行為によって生じた債権に当たり,その消滅時効期間は,5年である。


 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:イについて、商法506条は

 

「商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、消滅しない。」

 

と、規定しています。



オについて、最判平成20年1月28日は


「株式会社の取締役は,受任者としての義務を一般的に定める商法254条3項(民法644条),商法254条ノ3の規定に違反して会社に損害を与えた場合に債務不履行責任を負うことは当然であるが(民法415条),例えば,違法配当や違法な利益供与等が会社ないし株主の同意の有無にかかわらず取締役としての職務違反行為となること(商法266条1項1号,2号)からも明らかなように,会社の業務執行を決定し,その執行に当たる立場にある取締役の会社に対する職務上の義務は,契約当事者の合意の内容のみによって定められるものではなく,契約当事者の意思にかかわらず,法令によってその内容が規定されるという側面を有するものというべきである。商法266条は,このような観点から,取締役が会社に対して負うべき責任の明確化と厳格化を図る趣旨の規定であり(最高裁平成8年(オ)第270号同12年7月7日第二小法廷判決・民集54巻6号1767頁参照),このことは,同条1項5号に基づく取締役の会社に対する損害賠償責任が,民法415条に基づく債務不履行責任と異なり連帯責任とされているところにも現れているものと解される。

これらのことからすれば,商法266条1項5号に基づく取締役の会社に対する損害賠償責任は,取締役がその任務を懈怠して会社に損害を被らせることによって生ずる債務不履行責任であるが,法によってその内容が加重された特殊な責任であって,商行為たる委任契約上の債務が単にその態様を変じたにすぎないものということはできない。また,取締役の会社に対する任務懈怠行為は外部から容易に判明し難い場合が少なくないことをも考慮すると,同号に基づく取締役の会社に対する損害賠償責任については商事取引における迅速決済の要請は妥当しないというべきである。したがって,同号に基づく取締役の会社に対する損害賠償債務については,商法522条を適用ないし類推適用すべき根拠がないといわなければならない。

以上によれば,商法266条1項5号に基づく会社の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は,商法522条所定の5年ではなく,民法167条1項により10年と解するのが相当である。」


と、判示しています。


会社法423条1項は

 

「取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」 


商法522条は


「商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。」


と、規定しています。



したがって、上記記述は、イもオも誤りです。