刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1109

乙:Release your inhibitions

 

出典:

Natasha Bedingfield – Unwritten Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:美女が私を見ていた(youtube上で。)。

 

 

今日の問題は2問で、平成18年民事系第10問1と5です。

 

 
1. 所有者が占有者に対して占有物の返還を求める場合,原告は,被告の占有が権原に基づかないことを立証する必要はなく,被告が自己に正当な占有権原のあることを立証しなければならない。
5. 抵当権の設定された土地が不法に占有されている場合,抵当権者は,その占有者に対し,抵当権に基づいて妨害の排除を求めることができるばかりでなく,自己に明渡しを求めることもできる。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:coital posture..

 

乙:1について、民法206条は

 

「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」

 

と、規定しています。

 

最判昭和35年3月1日は

 

「 被上告人が本件土地を所有しかつその登記を経由していること、右土地上に訴外
Dの所有する建物が存在し、上告人がこれに居住してその敷地を占有していること
は、いずれも原判決の確定するところであり、上告人は、右Dが被上告人から本件
土地を使用貸借により借り受けてその地上に前記建物を建築し、上告人がこれを賃
借したと主張し、被上告人はこれを争つているのである。この場合、上告人の前記
正権原の主張については、上告人に立証責任の存することは明らかであり、上告人
は占有者の権利推定を定めた民法一八八条の規定を援用して自己の正権原を被上告
人に対抗することはできないと解するのが相当である。」

 

と、判示しています。

 

5について、最大判平成11年11月24日は

 

「本件においては、本件根抵当権の被担保債権である本件貸金債権の弁済期が
到来し、被上告人が本件不動産につき抵当権の実行を申し立てているところ、上告
人らが占有すべき権原を有することなく本件建物を占有していることにより、本件
不動産の競売手続の進行が害され、その交換価値の実現が妨げられているというの
であるから、被上告人の優先弁済請求権の行使が困難となっていることも容易に推
認することができる。
 【要旨第二】右事実関係の下においては、被上告人は、所有者であるEに対して
本件不動産の交換価値の実現を妨げ被上告人の優先弁済請求権の行使を困難とさせ
ている状態を是正するよう求める請求権を有するから、右請求権を保全するため、
Eの上告人らに対する妨害排除請求権を代位行使し、Eのために本件建物を管理す
ることを目的として、上告人らに対し、直接被上告人に本件建物を明け渡すよう求
めることができるものというべきである。」

 

最判平成17年3月10日は

 

「抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり,抵当不動産の
所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理
することが期待できない場合には,抵当権者は,占有者に対し,直接自己への抵当
不動産の明渡しを求めることができるものというべきである。
 2 これを本件についてみると,前記事実関係によれば,次のことが明らかであ
る。
 本件建物の所有者であるD社は,本件抵当権設定登記後,本件合意に基づく被担
保債権の分割弁済を一切行わなかった上,本件合意に違反して,E商事との間で期
間を5年とする本件賃貸借契約を締結し,その約4か月後,E商事は上告人との間
で同じく期間を5年とする本件転貸借契約を締結した。E商事と上告人は同一人が
代表取締役を務めており,本件賃貸借契約の内容が変更された後においては,本件
賃貸借契約と本件転貸借契約は,賃料額が同額(月額100万円)であり,敷金額
(本件賃貸借契約)と保証金額(本件転貸借契約)も同額(1億円)である。そし
て,その賃料額は適正な賃料額を大きく下回り,その敷金額又は保証金額は,賃料
額に比して著しく高額である。また,D社の代表取締役は,平成6年から平成8年
にかけて上告人の取締役の地位にあった者であるが,本件建物及びその敷地の競売
手続による売却が進まない状況の下で,被上告人に対し,本件建物の敷地に設定さ
れている本件抵当権を100万円の支払と引換えに放棄するように要求した。

 以上の諸点に照らすと,本件抵当権設定登記後に締結された本件賃貸借契約,本
件転貸借契約のいずれについても,本件抵当権の実行としての競売手続を妨害する
目的が認められるものというべきであり,しかも,上告人の占有により本件建物及
びその敷地の交換価値の実現が妨げられ,被上告人の優先弁済請求権の行使が困難
となるような状態があるということができる。
 また,上記のとおり,本件建物の所有者であるD社は,本件合意に違反して,本
件建物に長期の賃借権を設定したものであるし,D社の代表取締役は,上告人の関
係者であるから,D社が本件抵当権に対する侵害が生じないように本件建物を適切
に維持管理することを期待することはできない。
 3 そうすると,被上告人は,上告人に対し,抵当権に基づく妨害排除請求とし
て,直接自己への本件建物の明渡しを求めることができるものというべきである。
被上告人の本件建物の明渡請求を認容した原審の判断は,結論において是認するこ
とができる。」

 

と、判示しています。

 

 

 

したがって、上記記述は、1が正しく、5が誤りです。