刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 1115

乙:You're out of sight

 

出典:Earth, Wind & Fire – Let's Groove Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:out of sightは際立って素晴らしいという意味らしいです。

 

ご参考:https://eowf.alc.co.jp/search?q=out+of+sight

 

 

今日の問題は2問で、司法試験平成28年刑法第19問2と3です。

 

2.乙は,路上で,Aの頭部を殴って転倒させ,Aに脳挫傷の傷害を負わせたが,その直後に駆けつけた甲は,Aが乙の暴行によって倒れて苦しんでいることを知り,Aの抵抗が困難になっている状態を利用してAに暴行を加えようと考え,乙と意思を通じ,代わる代わるAの腹部を蹴り,腹部に打撲傷の傷害を負わせた。甲には,脳挫傷の傷害についても乙との傷害罪の共同正犯が成立する。
3.甲は,乙からAの殺害計画を打ち明けられ毒薬の入手を依頼されたことから,毒薬を購入して乙に渡したが,乙は,毒薬での殺害計画を変更し,Aを包丁で刺して殺害した。甲には,殺人予備罪の共同正犯が成立する。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:2について、最決平成24年11月6日は

 

「そこで検討すると,前記1の事実関係によれば,被告人は,Aらが共謀してCら
に暴行を加えて傷害を負わせた後に,Aらに共謀加担した上,金属製はしごや角材
を用いて,Dの背中や足,Cの頭,肩,背中や足を殴打し,Dの頭を蹴るなど更に
強度の暴行を加えており,少なくとも,共謀加担後に暴行を加えた上記部位につい
てはCらの傷害(したがって,第1審判決が認定した傷害のうちDの顔面両耳鼻部
打撲擦過とCの右母指基節骨骨折は除かれる。以下同じ。)を相当程度重篤化させ
たものと認められる。この場合,被告人は,共謀加担前にAらが既に生じさせてい
た傷害結果については,被告人の共謀及びそれに基づく行為がこれと因果関係を有
することはないから,傷害罪の共同正犯としての責任を負うことはなく,共謀加担
後の傷害を引き起こすに足りる暴行によってCらの傷害の発生に寄与したことにつ
いてのみ,傷害罪の共同正犯としての責任を負うと解するのが相当である。」

 

 

3について、刑法60条は

 

 「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」

 

同法65条1項は

 

「犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。」

 

と、規定しています。

 

最決昭和37年11月8日は

 

 「弁護人森健の上告趣意第一点は違憲をいうが、その実質は事実誤認、単なる法令
違反の主張に帰し刑訴四〇五条の上告理由に当らない(被告人の判示所為を殺人予
備罪の共同正犯に問擬した原判決の判断は正当と認める)。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、2が誤りで、3が正しいです。