刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1116

乙:What I've succumbed to is making me numb

 

出典:No Doubt – Just a Girl Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:硬派な歌詞でした。

 

今日の問題は2問で、司法試験平成22年刑事系第16問3と5です。

 

3.甲は,自己が経営する店において,1週間のうちに,同店を訪れた複数の客に対し,いずれも同じ題名・内容のわいせつ図画に該当するDVDを数回にわたって販売した。甲には,わいせつ図画販売罪の一罪が成立する。

5.甲は,郵便局の窓口で,偽造された郵便貯金払戻請求書1通を,不正に入手した他人名義の貯金通帳とともに郵便局員乙に提出して貯金の払戻しを請求し,これを正当な払戻請求と誤信した乙から貯金の払戻しを受けた。甲には,詐欺罪の一罪のみが成立する。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:3について、刑法175条1項は

 

「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。」

 

と、規定しています。

 

大判昭和10年11月11日は

 

「原判示第一ノ(イ)ノ事實ハ其ノ引用證據ニ依リテ之ヲ認ムルヲ得ヘク該事實ハ判示第一ノ(ロ)ノ事實ト共ニ刑法第百七十五條前段所定ノ猥褻畫販賣罪ヲ構成スルコト勿論ナリ而シテ同條ニ所謂販賣トハ曩ニ第二點ノ論旨ニ對シテ説明シタルカ如ク不定多衆ニ對シテ爲スノ目的ニ出テタル有償的ノ讓渡行爲ニシテ性質上反覆セラルル多數ノ行爲ヲ包含スルモノナルカ故ニ右ノ(イ)(ロ)ノ各販賣行爲ハ之ヲ包括的ニ一個ノ犯罪トシテ處罰スヘキモノニシテ連續犯トシテ處斷スヘキモノニ非スサレハ原判決カ連續犯トシテ之ニ刑法第五十五條ヲ適用シタルハ違法ナレトモ結局一罪トシテ處斷シタル結果ニ於テハ異ナルトコロナク右違法ハ判決ニ影響ヲ及ホササルコト明白ナルヲ以テ之ヲ上告ノ理由ト爲スヲ得ス論旨理由ナシ」

 

と、判示しています。

 

5について、刑法54条1項後段は

 

「犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。」

 

同法246条1項は

 

「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」

 

同法161条1項は

 

「前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。」

 

と、規定しています。

 

「判例は,偽造私文書行使罪と詐欺罪とは牽連犯となると解している(大判明治44・11・10刑録17輯1871頁)。」

 

山口厚『刑法』409頁

 

 

したがって、上記記述は、3が正しく、5が誤りです。