刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1122

 乙:Smoke on the water
(And fire in the sky)
Smoke on the water

 

出典:Deep Purple – Smoke on the Water Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:王様の名訳は歌いやすくて良いが、原曲もいい曲。

 

今日の問題は2問で、司法試験公法系平成18年第5問小問2と3です。

 

「知る権利」という概念は様々な意味で用いられている。まず,最高裁判所は,(a)事実の報道の自由が憲法第21条の保障の下にあると述べるにあたり,報道機関の報道が国民の「知る権利」に奉仕することを指摘している。また,「知る権利」は,情報を受領する権利を指して用いられることがあるが,最高裁判所の判決は,閲読の自由ないし情報摂取の自由が(b)ことを認めている。さらに,最近では,「知る権利」が政府に対して情報の開示を求める権利を指して用いられることが多い。
なお,マス・メディアに対するアクセス権が,マス・メディアに対する「知る権利」と言われることがある。しかし,アクセス権は,「知る権利」というよりは,市民がマス・メディアを利用して表現行為を行う権利である。(c)このアクセス権に対しては様々な批判があり,権利として一般的に承認されてはいない。
〈小問2〉 (b)に入るものとして適切なものを次の1から3までの中から選びなさい。(中略) 
1. 表現の自由を保障した憲法第21条第1項によって保障される
2. 表現の自由を保障した憲法第21条第1項の規定の趣旨,目的から,いわばその派生原理として当然に導かれる
3. 表現の自由を保障した憲法第21条第1項の精神に照らして十分尊重に値する
〈小問3〉 下線部(c)のいうところのアクセス権に対する批判として明らかに適切でないものを,次の1から3までの中から選びなさい 。(中略) 
1. アクセス権は,私人であるマス・メディアの作為(意見広告の掲載や反論文の掲載等)を求めるものであるので,国家からの自由であるという表現の自由とは根本的に性格が異なる。
2. マス・メディアによる報道において批判された者に当該メディアを用いて無料で反論することを認めることは,マス・メディアの側の報道を萎縮させ,批判的な報道がされなくなるおそれがある。
3. 周波数が有限であることから,放送局に対して公平な放送をするように要求することが憲法上認められるので,新聞によって批判された者の当該新聞に対する反論文掲載請求権はともかく,放送局に対する同様の反論放送請求権を認めることはできない。

 

 甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:長崎たーたん。。

 

乙:憲法21条1項は

 

「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」

 

と、規定しています。

 

 

小問2について、最大判昭和58年6月22日は

 

「 本件において問題とされているのは、東京拘置所長のした本件新聞記事抹消処分
による上告人らの新聞紙閲読の自由の制限が憲法に違反するかどうか、ということ
である。そこで検討するのに、およそ各人が、自由に、さまざまな意見、知識、情
報に接し、これを摂取する機会をもつことは、その者が個人として自己の思想及び
人格を形成・発展させ、社会生活の中にこれを反映させていくうえにおいて欠くこ
とのできないものであり、また、民主主義社会における思想及び情報の自由な伝達、
交流の確保という基本的原理を真に実効あるものたらしめるためにも、必要なとこ
ろである。それゆえ、これらの意見、知識、情報の伝達の媒体である新聞紙、図書
等の閲読の自由が憲法上保障されるべきことは、思想及び良心の自由の不可侵を定
めた憲法一九条の規定や、表現の自由を保障した憲法二一条の規定の趣旨、目的か
ら、いわばその派生原理として当然に導かれるところであり、また、すべて国民は
個人として尊重される旨を定めた憲法一三条の規定の趣旨に沿うゆえんでもあると
考えられる。」

 

 

と、判示しています。

 

 

小問3について

 

「知る権利と関連して、マス・メディアに対するアクセス権(right to access)が主張されることがある。アクセス権とは近づく(接近する)権利ということで、種々の場合に用いられる。たとえば裁判請求権のことを、裁判所へのアクセス権と言う。また、政府情報へのアクセス権とは政府情報の公開請求権を意味する。したがって、その場合は、知る権利と同義になる。そこでアクセス権とは、一般に、マス・メディアに対する知る権利、つまり、情報の受け手である一般国民が、情報の送り手であるマス・メディアに対して、自己の意見の発表の場を提供することを要求する権利(具体的には、意見広告や反論記事の掲載、紙面・番組への参加等)の意味に使われることが多い。しかし、私企業の形態をとっているマス・メディアに対する具体的なアクセス権を憲法ニ一条から直接導き出すことは不可能で、それが具体的権利となるためには、特別の法律(反論権法と呼ばれることが多い)が制定されなければならない。この法律が報道機関の編集の自由を侵害せず、また、批判的記事を差し控える萎縮的効果を及ぼさないような内容のものとなりうるか、そこに問題がある。」

 芦部信喜『憲法 第四版』168-169頁

 

 

したがって、上記記述は、小問2が2で、小問3が3です。