刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1129

乙:They have everything for young men to enjoy

 

出典:Village People – Y.M.C.A. Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:明るい気分になって良い。

 

 

今日の問題は3問で、新司法試験平成22年公法系第9問アイウです。

 

財産権の制限に関する①及び②の最高裁判所の判決に関する次のアからウまでの各記述について,(中略)
① 共有森林分割制限を定める森林法の規定を違憲であると判断した判決(最高裁判所昭和62年4月22日大法廷判決,民集41巻3号408頁)
② 上場会社等の役員又は主要株主による当該会社の株式等に係る短期売買利益返還義務を定める証券取引法(現行金融商品取引法)の規定を合憲であると判断した判決(最高裁判所平成14年2月13日大法廷判決,民集56巻2号331頁)
ア.①及び②の判決は,財産権に対して加えられる規制が憲法第29条第2項に適合するものであるかどうかは,規制の目的,必要性,内容,その規制によって制限される財産権の種類,性質及び制限の程度等を比較衡量して判断すべきであるとする点で共通する。
イ.②の判決は,財産権に対する規制には積極的目的によるものと消極的目的によるものとがあることを明示した上,積極的目的による規制の合憲性をより緩やかに認める考え方を明確にしたものである点で,①の判決と異なる。
ウ.①及び②の判決は,いずれも,財産権に規制を加える立法について規制目的の正当性は認めている。その上で,規制手段の必要性及び合理性に関して,①の判決はこれが認められないと判断したのに対し,②の判決はこれが認められると判断したものである。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 こ、甲先生!?

 

甲:おふぃしある・あくと。。

 

乙:憲法29条2項は

 

「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」

 

と、規定しています。

 

 

アについて、①は

 

「財産権に対して加えられる規制が憲法二九条二項にいう公共の福祉に適合する
ものとして是認されるべきものであるかどうかは、規制の目的、必要性、内容、そ
の規制によつて制限される財産権の種類、性質及び制限の程度等を比較考量して決
すべきものである」

 

②は

 

「財産権に対する規制が憲法29条2項にいう公共の福祉に適合するものとして是認されるべきものであるかどうかは,規制の目的,必要性,内容,その規制によって制限される財産権の種類,性質及び制限の程度等を比較考量して判断すべきものである。」

 

と、判示しています。

 

 

 

イについて、①は

 

「立法の規制目的が前示のような社会的理由ないし目的に出たとはいえないものとして公共の福祉に合致しないことが明らかであるか、又は規制目的が公共の福祉に合致するものであつても規制手段が右目的を達成するための手段として必要性若しくは合理性に欠けていることが明らかであつて、そのため立法府の判断が合理的裁量の範囲を超えるものとなる場合に限り、当該規制立法が憲法二九条二項に違背するものとして、その効力を否定することができるものと解するのが相当である(最高裁昭和四三年(行ツ)第一二〇号同五〇年四月三〇日大法廷判決・民集二九巻四号五七二頁参照)。」

 

②は

 

「法164条1項の規制の目的,必要性について検討するに,上場会社等の役員又は主要株主が一般投資家の知り得ない内部情報を不当に利用して当該上場会社等の特定有価証券等の売買取引をすることは,証券取引市場における公平性,公正性を著しく害し,一般投資家の利益と証券取引市場に対する信頼を損なうものであるから,これを防止する必要があるものといわなければならない。同項は,上場会社等の役員又は主要株主がその職務又は地位により取得した秘密を不当に利用することを防止することによって,一般投資家が不利益を受けることのないようにし,国民経済上重要な役割を果たしている証券取引市場の公平性,公正性を維持するとともに,これに対する一般投資家の信頼を確保するという経済政策に基づく目的を達成するためのものと解することができるところ,このような目的が正当性を有し,公共の福祉に適合するものであることは明らかである。」

 

と、判示しています。

 

ウについて、①は

 

「同法一八六条の立法目的は、以上のように解される限り、公共の福祉に合致しな
いことが明らかであるとはいえない。」

 

「森林法一八六条が共有森林につき持分価額二分の一以下の共有者に民法二五六条一項所定の分割請求権を否定しているのは、森林法一八六条の立法目的との関係において、合理性と必要性のいずれをも肯定することのできないことが明らかであつて、この点に関する立法府の判断は、その合理的裁量の範囲を超える」

 

②は

 

「法164条1項は証券取引市場の公平性,公正性を維持するとともにこれに対する一般投資家の信頼を確保するという目的による規制を定めるものであるところ,その規制目的は正当であり,規制手段が必要性又は合理性に欠けることが明らかであるとはいえないのであるから,同項は,公共の福祉に適合する制限を定めたものであって,憲法29条に違反するものではない。」

 

と、判示しています。

 

したがって、上記記述は、アとウが正しく、イが誤りです。