刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1142

 乙:I'm meant to drive home but I've drunk all of it now

 

出典:https://www.azlyrics.com/lyrics/edsheeran/sing.html

 

感想:singがsayに聞こえていた。

 

 

今日の問題は2問で、司法試験平成24年公法系第9問アとウです。

 

ア.いわゆるビデオリンク方式を採用することによって被告人は自ら尋問することができないが,それは証人が受ける精神的圧迫を回避するためであり,弁護人は尋問できるのであるから,被告人の証人審問権を侵害しているとはいえない。
ウ.ある事件の刑事確定訴訟記録の閲覧請求に対し,刑事確定訴訟記録法の条項に基づいて不許可としても,憲法第21条,第82条の規定は刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまで認めたものではないから,憲法には違反しない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:鬱(ウシ)病。。

 

乙:アについて、最判平成17年4月14日は

 

「所論は,刑訴法157条の3,157条の4は,憲法82条1項,37条1項,
2項前段に違反する旨主張する。
 刑訴法157条の3は,証人尋問の際に,証人が被告人から見られていることに
よって圧迫を受け精神の平穏が著しく害される場合があることから,その負担を軽
減するために,そのようなおそれがあって相当と認められるときには,裁判所が,
被告人と証人との間で,一方から又は相互に相手の状態を認識することができない
ようにするための措置を採り,同様に,傍聴人と証人との間でも,相互に相手の状
態を認識することができないようにするための措置を採ることができる(以下,こ
れらの措置を「遮へい措置」という。)とするものである。また,同法157条の
4は,いわゆる性犯罪の被害者等の証人尋問について,裁判官及び訴訟関係人の在
席する場所において証言を求められることによって証人が受ける精神的圧迫を回避
するために,同一構内の別の場所に証人を在席させ,映像と音声の送受信により相
手の状態を相互に認識しながら通話することができる方法によって尋問することが
できる(以下,このような方法を「ビデオリンク方式」という。)とするものであ
る。
 証人尋問が公判期日において行われる場合,傍聴人と証人との間で遮へい措置が
採られ,あるいはビデオリンク方式によることとされ,さらには,ビデオリンク方
式によった上で傍聴人と証人との間で遮へい措置が採られても,審理が公開されて
いることに変わりはないから,【要旨】これらの規定は,憲法82条1項,37条1項に違反するものではない。
 また,証人尋問の際,被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採
られた場合,被告人は,証人の姿を見ることはできないけれども,供述を聞くこと
はでき,自ら尋問することもでき,さらに,この措置は,弁護人が出頭している場
合に限り採ることができるのであって,弁護人による証人の供述態度等の観察は妨
げられないのであるから,前記のとおりの制度の趣旨にかんがみ,被告人の証人審
問権は侵害されていないというべきである。ビデオリンク方式によることとされた
場合には,被告人は,映像と音声の送受信を通じてであれ,証人の姿を見ながら供
述を聞き,自ら尋問することができるのであるから,被告人の証人審問権は侵害さ
れていないというべきである。」

 

ウについて、憲法21条は

 

「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」

 

同法82条は

 

「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
○2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。」

 

と、規定しています。

 

最決平成2年2月16日は

 

「 本件抗告の趣意のうち、刑事確定訴訟記録法四条二項が憲法二一条、八二条に違
反しないとした原決定は憲法の解釈を誤っているという点は、憲法の右の各規定が
刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものでないこと
は、当裁判所大法廷判例(昭和二九年(秩ち)第一号同三三年二月一七日決定・刑
集一二巻二号二五三頁、昭和六三年(オ)第四三六号平成元年三月八日判決・民集
四三巻二号八九頁)の趣旨に徴して明らかであるから、所論は理由がなく、判例違
反をいう点は、所論引用の各判例はすべて本件とは事案を異にするので適切でなく、
刑訴法四三三条の抗告理由に当たらない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、アが誤りで、ウが正しいです。