刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1146

乙:If I could buy my reasoning
I'd pay to lose

 

出典:No Doubt – It's My Life Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:with my lifeと聞こえていた。

 

 

今日の問題は、司法試験平成29年第17問ウとエです。

 

ウ.金銭債権の債権者Aが,債務者Bの第三債務者Cに対する甲動産の引渡請求権を代位行使する場合,Aは,Cに対し,Aの債権額にかかわらず,Aに甲動産を引き渡すことを求めることができる。
エ.債権者Aが債務者Bの第三債務者Cに対する債権を代位行使する場合において,CがBに対する債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出したときは,Aは,BがCに対して主張することができる再抗弁事由のほか,Aの独自の事情に基づく再抗弁も提出することができる。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:bully..

 

 

乙:ウについて、最判昭和29年9月24日は

 

「 建物の賃借人が、その賃借権を保全するため賃貸人たる建物所有者に代位して建
物の不法占拠者に対しその明渡を請求する場合においては、直接自己に対してその
明渡をなすべきことを請求することができるものと解するのを相当とする(大審院
昭和七年六月二一日言渡判決、民集一一巻一一九八頁、同昭和一〇年三月一二日言
渡判決、集一四巻四八二頁各参照)。」

 

と、判示しています。

 

 

エについて、民法423条1項は

 

「債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。」

 

と、規定しています。

 

 

最判昭和54年3月16日は

 

「本件訴訟は、被上告人が、民法四二三条一項の規定に基づき、訴
外会社と上告人との間で締結された荷為替手形の取立金からの前示振込委任契約を
訴外会社に代位して解除し、その結果、上告人の訴外会社に対する支払義務が具体
化するに至つた右取立金の返還債務につき、被上告人が訴外会社に対して有する前
示売買代金債権を保全するため、さらに訴外会社に代位して自己に直接支払を求め
ることを内容とする債権者代位訴訟であるから、被上告人の提出にかかる前記権利
濫用の抗弁の採否は、まず本件訴訟の右の性格を考慮して決すべきものであるとこ
ろ、債権者代位訴訟における原告は、その債務者に対する自己の債権を保全するた
め債務者の第三債務者に対する権利について管理権を取得し、その管理権の行使と
して債務者に代り自己の名において債務者に属する権利を行使するものであるから、
その地位はあたかも債務者になり代るものであつて、債務者自身が原告になつた場
合と同様の地位を有するに至るものというべく、したがつて、被告となつた第三債
務者は、債務者がみずから原告になつた場合に比べて、より不利益な地位に立たさ
れることがないとともに、原告となつた債権者もまた、その債務者が現に有する法
律上の地位に比べて、より有利な地位を享受しうるものではないといわなければな
らない。そうであるとするならば、第三債務者である被告の提出した債務者に対す
る債権を自働債権とする相殺の抗弁に対し、代位債権者たる原告の提出することの
できる再抗弁は、債務者自身が主張することのできる再抗弁事由に限定されるべき
であつて、債務者と関係のない、原告の独自の事情に基づく抗弁を提出することは
できないものと解さざるをえない。しかるに、本件において被上告人の提出した権
利濫用の抗弁について原審がこれを採用した理由として判示するところは、要する
に、上告人の相殺の主張は、訴外会社に対する関係ではともかく、被上告人との関係においては取引の信義則に反し権利の濫用として許されない、というのであるが、
債権者代位訴訟における当事者の地位に関する前記説示に照らすと、本訴債権が相
殺により消滅したと本件訴訟において主張することが訴外会社にとつては信義則に
反し権利の濫用とならないため相殺による本訴債権の消滅を肯定すべき場合におい
ても、なお被上告人との関係においては右相殺の主張が取引の信義則に反し権利の
濫用となるものとして相殺の主張が容れられないものとすることは、債権者代位訴
訟である本件訴訟の性質からみて、債権者たる原告の地位を債務者が訴訟を追行す
る場合に比して有利にするものとして、許されないものといわなければならない。
 そうであるとすると、被上告人に原判示の趣旨における権利濫用の再抗弁の提出
を認めた原判決には、民法四二三条一項の解釈を誤つた違法があり、論旨は理由が
ある。したがつて、原判決中予備的請求を認容した部分はその余の論旨につき判断
を加えるまでもなく破棄を免れず、上告人提出の相殺の抗弁の当否について更に審
理を尽くさせるため右破棄部分につき本件を原審に差し戻すこととする。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、ウが正しく、エが誤りです。