刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1147

乙:Won't let nobody hurt you

 

出典:Pretenders – I'll Stand By You Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:主語(I)が省略されているのでしょうか。

 

 

今日の問題は、司法試験平成27年民法第4問2と3です。

 

2.AがBと通謀してA所有の甲土地につきAB間で売買予約がされた旨仮装し,Bへの所有権移転登記請求権保全の仮登記をした後,Bが偽造書類を用いて仮登記を本登記にした上で,善意無過失のCに甲土地を売却し,Cへの所有権移転登記をした場合,Cは,Aに対し,甲土地の所有権をCが有することを主張することができる。
3.AがBと通謀してA所有の甲土地につきAB間で売買契約がされた旨仮装し,Bへの所有権移転登記をした後,Bが甲土地をCに売却した場合,Aは,CがAB間の売買契約が虚偽表示であることを知っていたことを立証しなければ,Cに対し,甲土地の所有権をAが有することを主張することができない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:ぷらちなぼーいず。。

 

 

乙:2について、民法94条は

 

「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」

 

 

同法110条は

 

「前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。」

 

同法109条本文は

 

「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。」

 

と、規定しています。

 

 

最判昭和43年10月17日は

 

「 原審の認定したところによれば、本件第一、第二の不動産は被上告人の所有であ
つたところ、被上告人は、昭和三〇年一一月一五日訴外D株式会社の代表取締役で
ある訴外Eから、個人名義の財産をもつていないと取引先の信用を得られないから、
右第一、第二の不動産の所有名義だけでも貸して欲しい旨申し込まれ、同訴外人と
合意のうえ、右不動産につき売買予約をしたと仮装し、Eのため所有権移転請求権
保全の仮登記手続をしたところ、Eは真正に成立したものでない委任状によつて、
右不動産につき、ほしいままに自己に対し所有権取得の本登記手続を経由したとい
うのである。
 思うに、不動産について売買の予約がされていないのにかかわらず、相通じて、
その予約を仮装して所有権移転請求権保全の仮登記手続をした場合、外観上の仮登
記権利者がこのような仮登記があるのを奇貨として、ほしいままに売買を原因とす
る所有権移転の本登記手続をしたとしても、この外観上の仮登記義務者は、その本
登記の無効をもつて善意無過失の第三者に対抗できないと解すべきである。けだし、
このような場合、仮登記の外観を仮装した者がその外観に基づいてされた本登記を
信頼した善意無過失の第三者に対して、責に任ずべきことは、民法九四条二項、同
法一一〇条の法意に照らし、外観尊重および取引保護の要請というべきだからであ
る。
 今叙上の見地に立つて本件を見るに、原審の認定したところによれば、前示のご
とくEがほしいままに仮登記に基づく本登記をなした後、本件第一、第二の不動産は登記簿上、Eより訴外F株式会社を経て上告人A1に、さらに本件第二の不動産
は上告人A1より同A2に移転しているという以上、原審はすべからく上告人らは
本件不動産の取得につき善意無過失であつたかどうか、すなわち、被上告人は本件
の本登記の無効を以て上告人らに対抗できるかどうかについて、審理すべきであつ
たのである。」

 

3について、最判昭和35年2月2日は

 

 「 原判決添付目録(一)、(二)、(三)の土地は、もと訴外Dの所有であつたと
ころ、売買を原因として被上告人B1に所有権移転登記がなされ、さらに、被上告
人B2のため抵当権設定登記がなされたこと、D、B1間の売買は、両名が通謀し
てした虚偽の意思表示であることは、いずれも原審の確定したところである。した
がつて、被上告人B2が民法九四条二項の保護をうけるためには、同人において、
自己が善意であつたことを主張、立証しなければならないのである(昭和一七年(
オ)第五二〇号、同年九月八日大審院第五民事部判決参照)。しかるに、同被上告
人は、原審において、前記売買が虚偽表示によることを否認しているだけで、善意
の主張をしていないにかかわらず、原審は、B2は右所有権移転行為が通謀虚偽表
示であることを知らなかつたのであり、これを知つていたと認むべき証拠はない旨
判示し、上告人の請求を排斥したものであつて、原判決は、主張責任のある当事者
によつて主張されていない事実につき判断をした違法があるといわなければならな
い。のみならず、論旨摘録の証拠によれば、同被上告人が善意であつたものとは、
いまだにわかに断定しえないものがあるのであつて、原判決はまた、重要な証拠に
対する判断を遺脱した結果理由不備の違法をおかしたものというべきである。」

 

 と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、2が正しく、3が誤りです。