刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1154

 乙:Because this love
That I have to give
Must be better than that kind

 

出典:Culture Club – Miss Me Blind Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:自信家な歌詞。

 

 

今日の問題は、司法試験平成28年民法第21問イウエオです。

 

イ.建物賃貸借契約の存続期間中に賃借人の保証人が死亡した場合において,その相続人は,相続開始後に生じた賃借人の債務についても保証債務を負う。
ウ.身元保証契約において,使用者が,被用者に業務上不適任又は不誠実な事跡があって,そのために身元保証人の責任を惹起するおそれがあることを知ったときは,使用者は,遅滞なく身元保証人にその旨を通知しなければならない。
エ.貸金等根保証契約において元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から6年を経過する日と定められている場合,その元本確定期日は,その貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日となる。
オ.根保証契約の元本確定期日前に根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債権が譲渡されたときは,その譲受人は,保証人に対し,当該保証債務の履行を求めることができない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

こ、甲先生!?

 

甲:いとう。。

 

 

乙:イについて、大判昭和9年1月30日は

 

「賃貸借契約ニ因リ之ト同時ニ賃貸人カ賃借人ニ目的物ノ使用収益ヲ為サシムル対価トシテ賃借人ハ借賃ヲ支払フヘキ基本ノ法律関係ヲ生スヘク此賃借人ノ基本債務ハ将来ノ使用収益義務履行ヲ俟チテ発生スヘキ個々ノ借賃債務トハ異レリト雖右基本債務ニ付保証ヲ約シタル者ハ将来使用収益義務履行ノ場合之ニ対スル個々ノ借賃債務ノ保証債務ヲ負担スヘキコト勿論ニシテ従テ右基本債務ノ保証人ヲ相続シ因テ其ノ地位ヲ承継シタル者カ相続後ノ使用収益義務履行ノ場合ニ之ニ対スル個々ノ借賃債務ノ保証債務ヲ負担スヘキヤ当然ナリトス」

 

と、判示しています。

 

ウについて、身元保証ニ関スル法律3条1号は

 

「使用者ハ左ノ場合ニ於テハ遅滞ナク身元保証人ニ通知スベシ
一 被用者ニ業務上不適任又ハ不誠実ナル事跡アリテ之ガ為身元保証人ノ責任ヲ惹起スル虞アルコトヲ知リタルトキ」

 

 

と、規定しています。

 

 

エについて、改正民法465条の3は

 

「個人根保証契約であってその主たる債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(以
下「個人貸金等根保証契約」という。)において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定めがある場合において、その元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から五年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。

2 個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から三年を経過する日とする。
3 個人貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から五年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日の前二箇
月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から五年以内の日となるときは、この限りでない。
4 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その個人貸金等根保証契約の締結の日から三年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除く。)について準用する。」

 

と、規定しています。

 

 

オについて、最判平成24年12月14日は

 

「根保証契約を締結した当事者は,通常,主たる債務の範囲に含まれる個別の
債務が発生すれば保証人がこれをその都度保証し,当該債務の弁済期が到来すれ
ば,当該根保証契約に定める元本確定期日(本件根保証契約のように,保証期間の
定めがある場合には,保証期間の満了日の翌日を元本確定期日とする定めをしたも
のと解することができる。)前であっても,保証人に対してその保証債務の履行を
求めることができるものとして契約を締結し,被保証債権が譲渡された場合には保
証債権もこれに随伴して移転することを前提としているものと解するのが合理的で
ある。そうすると,被保証債権を譲り受けた者は,その譲渡が当該根保証契約に定
める元本確定期日前にされた場合であっても,当該根保証契約の当事者間において
被保証債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り,保証人に対し,
保証債務の履行を求めることができるというべきである。
本件根保証契約の当事者間においては上記別段の合意があることはうかがわれな
いから,被上告人は,上告人に対し,保証債務の履行を求めることができる。」

 

と、判示しています。

 

したがって、上記記述は、イとウが正しく、エとオが誤りです