刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1161

 乙:Marshmallows for toasting

 

出典:Christmas Songs – It's The Most Wonderful Time Of The Year Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:mostが耳に残ったため選びました。

 

今日の問題は、予備試験平成23年商法第20問アイエオです。

 

ア.募集株式を引き受ける者に特に有利な払込金額による募集株式の発行が株主総会の特別決議を経ないでされたことは,無効原因とならない。
イ.募集事項の株主に対する通知又は公告のいずれも欠いたことは,無効原因とならない。
エ.募集株式の発行に必要とされる取締役会の決議を経ていないことは,無効原因とならない。
オ.募集株式の発行差止請求訴訟を本案とする募集株式の発行の差止めの仮処分命令があるにもかかわらず,その仮処分命令に違反して募集株式の発行がされたことは,無効原因とならない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:アについて、最判昭和46年7月16日は

 

 「株式会社の代表取締役が新株を発行した場合には、右新株が、株主総会の特別決
議を経ることなく、株主以外の者に対して特に有利な発行価額をもつて発行された
ものであつても、その瑕疵は、新株発行無効の原因とはならないものと解すべきで
ある。このことは当裁判所の判例(最高裁判所昭和三九年(オ)第一〇六二号、同
四〇年一〇月八日第二小法廷判決、民集一九巻七号一七四五頁参照)の趣旨に徴し
て明らかである。」

 

イについて、最判平成9年1月28日は

 

「 しかしながら、新株発行に関する事項の公示(同法二八〇条ノ三ノ二に定める公
告又は通知)は、株主が新株発行差止請求権(同法二八〇条ノ一〇)を行使する機会を保障することを目的として会社に義務付けられたものであるから(最高裁平成
元年(オ)第六六六号同五年一二月一六日第一小法廷判決・民集四七巻一〇号五四
二三頁参照)、新株発行に関する事項の公示を欠くことは、新株発行差止請求をし
たとしても差止めの事由がないためにこれが許容されないと認められる場合でない
限り、新株発行の無効原因となると解するのが相当であり、右(三)及び(四)の点に
照らせば、本件において新株発行差止請求の事由がないとはいえないから、結局、
本件の新株発行には、右(一)の点で無効原因があるといわなければならない。」

 

エについて、最判昭和36年3月31日は

 

「 原判決が本件に関し、昭和二五年法律第一六七号によつて改正された商法の解釈
として、株式会社の新株発行に関し、いやしくも対外的に会社を代表する権限のあ
る取締役が新株を発行した以上、たとえ右新株の発行について有効な取締役会の決
議がなくとも、右新株の発行は有効なものと解すべきであるとした判示は、すべて
正当である。そして原判決が右判断の理由として、改正商法(株式会社法)はいわ
ゆる授権資本制を採用し、会社成立后の株式の発行を定款変更の一場合とせず、そ
の発行権限を取締役会に委ねており、新株発行の効力発生のためには、発行決定株
式総数の引受及び払込を必要とせず、払込期日までに引受及び払込のあつた部分だ
けで有効に新株の発行をなし得るものとしている(第二八〇条の九)等の点から考
えると、改正法にあつては、新株の発行は株式会社の組織に関することとはいえ、
むしろこれを会社の業務執行に準ずるものとして取扱つているものと解するのが相
当であることをあげていることもすべて首肯し得るところである。なお、取締役会
の決議は会社内部の意思決定であつて、株式申込人には右決議の存否は容易に知り
得べからざるものであることも、又右判断を支持すべき一事由としてあげることが
できる。」

 

オについて、最判平成5年12月16日は

 

「商法二八〇条ノ一〇に基づく新株発行差止請求訴訟を本案とする新株発行差止め
の仮処分命令があるにもかかわらず、あえて右仮処分命令に違反して新株発行がさ
れた場合には、右仮処分命令違反は、同法二八〇条ノ一五に規定する新株発行無効
の訴えの無効原因となるものと解するのが相当である。けだし、同法二八〇条ノ一
〇に規定する新株発行差止請求の制度は、会社が法令若しくは定款に違反し、又は
著しく不公正な方法によって新株を発行することにより従来の株主が不利益を受けるおそれがある場合に、右新株の発行を差し止めることによって、株主の利益の保
護を図る趣旨で設けられたものであり、同法二八〇条ノ三ノ二は、新株発行差止請
求の制度の実効性を担保するため、払込期日の二週間前に新株の発行に関する事項
を公告し、又は株主に通知することを会社に義務付け、もって株主に新株発行差止
めの仮処分命令を得る機会を与えていると解されるのであるから、この仮処分命令
に違反したことが新株発行の効力に影響がないとすれば、差止請求権を株主の権利
として特に認め、しかも仮処分命令を得る機会を株主に与えることによって差止請
求権の実効性を担保しようとした法の趣旨が没却されてしまうことになるからであ
る。」

 

 と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、アとエが正しく、イとオが誤りです。