刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1174

乙:Santa make him hurry, tell him he can take the freeway down

 

出典:Chuck Berry – Run Rudolph Run Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:sがないのが本場。

 

 今日の問題は、司法試験平成26年民事系第47問アイエオです。

 

ア.判例によれば,株主の会社に対する剰余金配当請求権は,剰余金の配当に関する事項が株主総会又は取締役会の決議によって定められる前においても,株式から分離して,これを第三者に譲渡することができる。
イ.判例によれば,会社は,定款において,剰余金の配当につき,効力発生日から5年を経過しても請求がないときはその支払義務を免れる旨を定めることができない。
エ.金銭以外の財産を配当財産とする剰余金の配当をするには,当該配当財産に代えて金銭を交付することを会社に対して請求する権利を株主に与えるか否かにかかわらず,株主総会の特別決議によらなければならない。
オ.会社が分配可能額を超えて剰余金の配当をした場合には,会社の債権者は,その債権額を上限として,剰余金の配当を受けた株主に対し,交付を受けた配当財産の帳簿価額に相当する金銭を直接自己に支払うよう請求することができる。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 甲:アについて、大判大正8年1月24日は

 

「株主カ會社ニ對シ有スル利益配當請求權ハ株主總會ノ決議ニ因リ利益配當ノ金額確定シタルトキニ於テ始メテ其金額ノ支拂ヲ目的トスル獨立ノ請求權ヲ發生スルモノニシテ其以前ニ在リテハ株主權ニ包含スル其一内容ヲ爲スモノニ過キスシテ獨立シタル一箇ノ權利ニ非ス故ニ利益配當ニ關スル株主總會ノ決議アリタル後ニ於テハ其確定シタル配當金ノ支拂ヲ請求スル權利ハ獨立シタル一箇ノ債權ニ外ナラサレハ之ヲ讓渡スルコトヲ得ルハ勿論其決議以前ニ在リテモ其決議ヲ條件トシテ發生スル利益配當金支拂ノ請求權ヲ讓渡スルコトヲ妨ケサルモ其決議以前株主權ノ包含スル一内容タル利益配當請求權其モノハ獨立シタル一箇ノ權利ニ非サルヲ以テ之ヲ株主權ヨリ分離シテ讓渡スルコトヲ得サルモノト謂ハサル可カラス是レ本院判例(大正四年(オ)第五百五號大正五年三月九日判決)ノ趣旨ニ於テ是認スル所ナリ蓋シ其判例ニ於テ株主ハ株主總會前ト雖モ其總會ノ決議ヲ條件トスル利益配當請求權ヲ讓渡スルコトヲ得ル旨判示シアルハ畢竟叙上ノ趣旨ニ基キタルモノニ外ナラサレハナリ然ルニ原裁判所カ株主權ノ包含スル一内容タル利益配當請求權ヲ恰カモ獨立シタル一箇ノ債權ナルカ如クニ解シ利益配當ニ關スル株主總會ノ決議以前ヨリ之ヲ讓渡スルコトヲ得ルモノノ如キ見地ニ基キ判決ヲ爲シタルハ違法ニシテ本件上告ハ其理由アリ」

 

と、判示しています。

 

 イについて、大判昭和2年8月3日は

 

「被上告会社ノ定款第三十一条ニ「当会社ハ株主配当金ニ付支払期日ヨリ満五ケ年ヲ経過スルモ其ノ請求ナキトキハ之ヲ支払フ義務ヲ免ルルモノトス」トノ規定ノ存スルコト並上告人ハ支払期限後五年以上経過ノ後始テ本訴利益配当金ノ請求ヲ為シタルコトハ原判決ノ確定スルコトロナリ惟フニ当事者カ特約ヲ以テ権利ノ行使期間ヲ制限シ一定ノ期間内ニ請求セサルトキハ其ノ権利ハ始ヨリ成立セサリシコトトナリ若ハ期間経過ト共ニ当然ニ消滅スヘシト定ムルコトハ苟モ其ノ権利ノ本質ニ反セス又公序良俗ニ背カサル限リ之ヲ為シ得サルモノニ非ス而シテ斯ル場合ニハ当該権利ハ特約ニ因リ如上ノ特質ヲ帯フルニ至ルモノト解シ得ヘクシテ必スシモ時効期間ノ短縮ヲ以テ目スルノ要アルコトナシ此ノ事ハ株式会社ニ於テ利益配当金支払請求権ニ付本件ノ如ク定款ヲ以テ其ノ行使期間ヲ限定シタルトキモ亦同様ニシテ株主ハ定款所定ノ制限ノ下ニ権利ヲ行使スヘキモノト解スヘキナリ尤モ定款其ノモノハ会社ト株主間ノ契約ニ非サルモ素是レ会社ト株主間ノ関係ヲモ律スル規則ニシテ利益配当金支払ノ請求権ハ配当決議ノ時ニ株主タルコトヲ前提トシテ取得スヘキモノニ係リ定款ニ於テ如上ノ定ヲ為シタルトキハ当然之ニ拘束セラルルコトハ理ノ当然ナレハナリ上告論旨ハ之ト異ナル見地ニ立脚スルモノ到底其ノ可ナル所以ヲ見ス原審カ本件権利行使期間ノ制限ヲ以テ時効期間ノ短縮ノ如ク解シタルハ正鵠ヲ得サルノ嫌アルモ支払期日後五年ノ経過ニヨリ配当金ノ支払ヲ求メ得サルモノト為シタル終局ノ判断ハ結局正当ナルニ帰スヘク」

 

と、判示しています。

 

民法166条1項は

 

「債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から
五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。」

 

と、規定しています。

 

エについて、会社法454条4項1号は

 

「配当財産が金銭以外の財産であるときは、株式会社は、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めることができる。ただし、第一号の期間の末日は、第一項第三号の日以前の日でなければならない。
一 株主に対して金銭分配請求権(当該配当財産に代えて金銭を交付することを株式会社に対して請求する権利をいう。以下この章において同じ。)を与えるときは、その旨及び金銭分配請求権を行使することができる期間」 

 

同法309条2項10号は

 

「前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。

十 第四百五十四条第四項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項第一号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。)」

 

 と、規定しています。

 

オについて、会社法463条は

 

「前条第一項に規定する場合において、株式会社が第四百六十一条第一項各号に掲げる行為により株主に対して交付した金銭等の帳簿価額の総額が当該行為がその効力を生じた日における分配可能額を超えることにつき善意の株主は、当該株主が交付を受けた金銭等について、前条第一項の金銭を支払った業務執行者及び同項各号に定める者からの求償の請求に応ずる義務を負わない。
2 前条第一項に規定する場合には、株式会社の債権者は、同項の規定により義務を負う株主に対し、その交付を受けた金銭等の帳簿価額(当該額が当該債権者の株式会社に対して有する債権額を超える場合にあっては、当該債権額)に相当する金銭を支払わせることができる。」

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、アとイとエが誤りで、オが正しいです。