刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1190

乙:I asked you not to talk to him

 

出典:Rick Springfield – Don't Talk to Strangers Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:依頼の意味でしょうか。

 

 今日の問題は、司法試験平成26年刑法第10問イです。

 

刑法第230条の2に関する次の各【見解】についての後記アからオまでの各【記述】を検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(中略)
【見 解】
A説:刑法第230条の2の規定は,名誉毀損罪について真実性の証明がなされたことを処罰阻却事由として定めたものである。
B説:刑法第230条の2の規定は,他人の名誉を毀損する表現の内容が証明可能な程度に真実であることを違法性阻却事由として定めたものである。
【記 述】
イ.B説に対しては,他人の名誉を毀損する表現をした者がその表現内容について真実であると信じた場合には,常に故意がないことになり相当でないという批判が向けられている。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:刑法35条は

 

「法令又は正当な業務による行為は、罰しない。」

 

同法230条の2は

 

「前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」

 

と、規定しています。

 

 

「まず,①錯誤論で解決を図ろうとする立場として,a)真実性の証明による免責を違法性阻却事由と解し,厳格責任説の立場から,真実性の誤信が避けられなかった場合に,責任阻却による免責を肯定する見解,b)刑法230条の2は「訴訟法的規定」で,その実体法上の免責要件は「証明可能な程度の真実」であり,客観的な資料から「証明可能な真実」だと思えば故意が阻却されるとの見解が存在する。a)については厳格責任説を前提とする点,b)については故意阻却には客観的な限定を付することができず,軽率に真実と誤信しても免責せざるをえないはずだとの批判がある。次に,②違法論で解決を図ろうとする立場として,信頼すべき資料を基礎として,一応その事実を真実と判断するのが合理的だといえる場合には,正当行為(刑35条)として違法性が阻却されるとの見解がある。これに対しては,一般人の判断を誤らせる虚偽の事実の摘示に,名誉保護よりも優越する利益を肯定することはできず,違法性阻却を認めることには疑問があるとの批判がなされている。」

 

 山口厚『刑法』263頁

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。