刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1196

乙:Inside her there's longing
This girl's an open page
Book marking, she's so close now
This girl is half his age

 

出典:The Police – Don't Stand So Close to Me Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:教師と生徒の恋愛の歌。

 

 

今日の問題は、新司法試験平成21年刑事系第32問オです。

 

【事 例】
 Vの死体が発見され,司法解剖の結果,Vの死因が頸部圧迫による窒息であることが判明した。その後,警察は,甲及び乙が共謀してVを殺害した事実により,甲を逮捕したが,乙は逃亡してその所在が判明しなかった。甲は,取調べに対し,自分はVの殺害とは無関係である旨供述した。
捜査を尽くしたところ,検察官は,甲及び乙が共謀してVを殺害し,殺害の実行行為者が甲であると認定したが,犯行日時については,「平成○年3月15日ころから同月18日ころまでの間」,犯行場所については,「H市内又はその周辺」,犯行方法については,「何らかの方法で頸部を圧迫した」としか認定できなかった。そのため,検察官は,甲の勾留満期日に,以下の<公訴事実>で甲を起訴した。
<公訴事実>
 被告人甲は,乙と共謀の上,平成○年3月15日ころから同月18日ころまでの間,H市内又はその周辺において,Vに対し,殺意をもって,何らかの方法でVの頸部を圧迫し,よって,そのころ,同所付近において,Vを頸部圧迫により窒息死させて殺害したものである。
【記 述】

オ.検察官が,<公訴事実>につき,「・・・殺意をもって,被告人甲が,何らかの方法で・・・」と殺害の実行行為者を甲と特定する旨の訴因変更をした後,裁判所が,その実行行為者につき,「被告人甲又は乙あるいはその両名において」と択一的に認定するには,必ず訴因変更の手続を経なければならず,その手続を経ないで認定した場合には訴訟手続の法令違反がある。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:Route 66..

 

乙:最決平成13年4月11日は

 

 「 次に,実行行為者につき第1審判決が訴因変更手続を経ずに訴因と異なる認定を
したことに違法はないかについて検討する。訴因と認定事実とを対比すると,前記
のとおり,犯行の態様と結果に実質的な差異がない上,共謀をした共犯者の範囲に
も変わりはなく,そのうちのだれが実行行為者であるかという点が異なるのみであ
る。そもそも,殺人罪の共同正犯の訴因としては,その実行行為者がだれであるか
が明示されていないからといって,それだけで直ちに訴因の記載として罪となるべ
き事実の特定に欠けるものとはいえないと考えられるから,訴因において実行行為
者が明示された場合にそれと異なる認定をするとしても,審判対象の画定という見
地からは,訴因変更が必要となるとはいえないものと解される。とはいえ,【要旨
2】実行行為者がだれであるかは,一般的に,被告人の防御にとって重要な事項で
あるから,当該訴因の成否について争いがある場合等においては,争点の明確化な
どのため,検察官において実行行為者を明示するのが望ましいということができ,
検察官が訴因においてその実行行為者の明示をした以上,判決においてそれと実質
的に異なる認定をするには,原則として,訴因変更手続を要するものと解するのが
相当である。しかしながら,実行行為者の明示は,前記のとおり訴因の記載として不可欠な事項ではないから,少なくとも,被告人の防御の具体的な状況等の審理の
経過に照らし,被告人に不意打ちを与えるものではないと認められ,かつ,判決で
認定される事実が訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより不利益である
とはいえない場合には,例外的に,訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる実行
行為者を認定することも違法ではないものと解すべきである。
 そこで,本件について検討すると,記録によれば,次のことが認められる。第1
審公判においては,当初から,被告人とAとの間で被害者を殺害する旨の共謀が事
前に成立していたか,両名のうち殺害行為を行った者がだれかという点が主要な争
点となり,多数回の公判を重ねて証拠調べが行われた。その間,被告人は,Aとの
共謀も実行行為への関与も否定したが,Aは,被告人との共謀を認めて被告人が実
行行為を担当した旨証言し,被告人とAの両名で実行行為を行った旨の被告人の捜
査段階における自白調書も取り調べられた。弁護人は,Aの証言及び被告人の自白
調書の信用性等を争い,特に,Aの証言については,自己の責任を被告人に転嫁し
ようとするものであるなどと主張した。審理の結果,第1審裁判所は,被告人とA
との間で事前に共謀が成立していたと認め,その点では被告人の主張を排斥したも
のの,実行行為者については,被告人の主張を一部容れ,検察官の主張した被告人
のみが実行行為者である旨を認定するに足りないとし,その結果,実行行為者がA
のみである可能性を含む前記のような択一的認定をするにとどめた。【要旨3】以
上によれば,第1審判決の認定は,被告人に不意打ちを与えるものとはいえず,か
つ,訴因に比べて被告人にとってより不利益なものとはいえないから,実行行為者
につき変更後の訴因で特定された者と異なる認定をするに当たって,更に訴因変更
手続を経なかったことが違法であるとはいえない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。