刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1197

乙:Sweet dreams are made of this
Who am I to disagree?

 

出典:Eurythmics – Sweet Dreams (Are Made of This) Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:現実的な歌詞。

 

 

今日の問題は、司法試験平成24年刑事系第32問アです。

 

次の【事例】に関する甲を有罪とするのに必要な甲の自白の補強証拠について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。なお,甲の自白及び各証拠について,その証拠能力及び証明力には問題はないものとする。(中略)
【事 例】
甲は,平成23年4月3日,H警察署を訪れ,同署司法警察員Xに対し,「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は,乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し,私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し,V1の死体を海に捨てるというものであった。実際,私は,この計画どおり,平成23年2月3日午後9時頃,前記岸壁において,普通乗用自動車を運転し,乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し,乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに,私は,これまで,一度も運転免許を取得したことがない。また,私は,平成22年12月8日,H市内に
あるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ,私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと,道路交通法違反(無免許運転),殺人,死体遺棄,住居侵入,窃盗の罪を自白した。そこで,司法警察員Xは,この自白を内容とする供述調書を作成した。その後,甲は,平成23年4月5日,司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上,これをAに郵送した。
【記 述】
ア.甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とするには,甲が無免許であることについての補強証拠が必要不可欠であり,この証拠がない限り,甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とする余地はない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:drench..

 

乙:刑事訴訟法319条2項は

 

「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」

 

と、規定しています。

 

 

最判昭和42年12月21日は

 

「 弁護人元村和安の上告趣意は、憲法三八条三項違反を主張するが、判決裁判所の
公判廷における被告人の自白が、同条項にいわゆる「本人の自白」に含まれないこ
とは、当裁判所大法廷判決(昭和二三年(れ)第一六八号同年七月二九日、集二巻
九号一〇一二頁。昭和二六年(れ)第二四九五号同二七年六月二五日、集六巻六号
八〇六頁)の明らかにするところであり、本件においては、第一審公判廷において
被告人が自白しているのであるから、所論は理由がない。
 その余の論旨は、憲法三一条違反を主張する点もあるが、実質は、すべて単なる
法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由に当ら
ない。(原初決は、道路交通法六四条、一一八条一項一号のいわゆる無免許運転の
罪について「無免許という消極的身分の如きその主観的側面については、被告人の
自白だけでこれを認定して差支えないと解するのが相当」であると判示し、被告人
が免許を受けていなかつた事実については、補強証拠を要しない旨の判断を示して
いる。しかしながら、無免許運転の罪においては、運転行為のみならず、運転免許
を受けていなかつたという事実についても、被告人の自白のほかに、補強証拠の存
在することを要するものといわなければならない。そうすると、原判決が、前記の
ように、無免許の点については、被告人の自白のみで認定しても差支えないとした
のは、刑訴法三一九条二項の解釈をあやまつたものといわざるを得ない。ただ、本
件においては、第一審判決が証拠として掲げたAの司法巡査に対する供述調書に、
同人が、被告人と同じ職場の同僚として、被告人が運転免許を受けていなかつた事
実を知つていたと思われる趣旨の供述が記載されており、この供述は、被告人の公
判廷における自白を補強するに足りるものと認められるから、原判決の前記違法も結局、判決に影響を及ぼさないものというべきである。)」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。