刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 1249

乙:And watch the stars go out

 

出典:Dubstar – Stars Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:go outで消えるという意味。知らなかった。

 

今日の問題は、新司法試験平成18年民事系第37問イとオです。

 

イ. 判例の趣旨に照らせば,商人が支配人を解任し,その旨の登記をした後は,第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときでない限り,当該商人は善意の第三者に対しても解任を対抗することができ,解任された支配人が支配人と称して当該商人をなおも代理して第三者と契約を締結したとしても表見代理が成立する余地はない。
オ. 商人が支配人を選任したが,その旨の登記をしていない場合において,その支配人が当該商人のために第三者と契約を締結したときは,当該商人は,当該選任の事実を知らない第三者に対して契約が有効であることを主張することはできない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:イについて、最判昭和49年3月22日は

 

「 ところで、株式会社の代表取締役の退任及び代表権喪失は、商法一八八条及び一
五条によつて登記事項とされているのであるから、前記法の趣旨に鑑みると、これ
についてはもつぱら商法一二条のみが適用され、右の登記後は同条所定の「正当ノ
事由」がないかぎり、善意の第三者にも対抗することができるのであつて、別に民
法一一二条を適用ないし類推適用する余地はないものと解すべきである。
 これを本件についてみるに、原審の適法に確定したところによると、本件約束手形は、上告人会社代表取締役Dが取締役を退任して代表権を喪失し、その登記がな
された後に、同人により会社の代表者名義をもつてE組ことFに宛てて振出され、
更にFから株式会社G商店を経て被上告人に裏書譲渡されたというのであるから、
被上告人は、Fにおいて、Dより右手形の振出交付を受けた際、右代表権の喪失に
つき善意であり、かつ、商法一二条所定の「正当ノ事由」があつたことを主張立証
することによつてのみ上告人会社に右手形金を請求することができるにとどまり、
Fの善意無過失を理由に民法一一二条を適用ないし類推適用して上告人会社の表見
代理責任を追及することは許されないものといわなければならない。」

 

と、判示しています。

 

 

オについて、最判昭和35年4月14日は

 

「 (一)本件約束手形二通はいずれも上告人が昭和二七年五月二九日株式会社D商
店商事部代表取締役名義を以て振出したものであること、そして他に反証がないか
ら、右各手形はいずれも右株式会社D商店が、その商事部名義で振出したものとみ
るべきであること、(二)右株式会社D商店は、藤沢市ab番地に本店を有する株
式会社E洋服店が、昭和二七年四月三〇日その商号を変更したものであつて、上告
人は同時に代表取締役に就任したものであること(ただし、本件各手形の振出およ
び満期の当時はいまだその商号の変更ならびに代表取締役就任の事実は登記されて
おらず、その後同年九月一五日に至つて漸く登記されたものであること)、(三)
被上告人らの先代Fは、判示のような順序を経て右各手形の裏書譲渡を受けてその
所持人となつたことは、原判決の確定するところである(これらの事実認定は挙示
の証拠に照し首肯できる)。
 右のような事実関係から観れば、株式会社D商店は、本件各手形の振出、満期の
当時並びにFがこれを取得した当時、いまだその商号の変更並びに代表取締役の氏
名につき登記をしていなかつたとはいえ、株式会社E洋服店と、その実質を同じく
する会社として、現実に存在していたものとみるのが相当であり、また原判決もそ
のように認定したものと解される。しかも上告人はその代表取締役であつたという
のであるから、本件各手形は、右実在する会社の代表者である上告人が、その代表
権限に基いて振出したものとみるのが当然であつて、従つて右各手形を取得したFは、その当然の権利として右会社に対し、本件各手形上の責任を問うことを得べき
筋合であるといわなければならない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、イが正しく、オが誤りです。