刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1263

乙:They say that looks don't count for much
And so there goes your proof

 

出典:Joe Jackson – Is She Really Going Out With Him? Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:見た目を気にする歌詞。

 

 

今日の問題は、新司法試験平成19年民事系第51問アとウです。


 Aの販売する商品をBが買い付けるに当たりCが関与する法的形態について( 中略

ア. CがAから販売委託を受けた問屋である場合には,売買契約はA・B間に成立する。

ウ.判例によれば,Bにとって買付けが商行為である場合には,CがBから商品買付けの契約締結代理権を付与されていたが,CがAに対してBを代理して契約を締結する旨を表示しなかったときであっても,売買契約はA・B間に成立し,A・C間に契約が成立することはない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:アについて、商法551条は


「この章において「問屋」とは、自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入れをすることを業とする者をいう。


と、規定しています。



ウについて、商法504条は

 

「商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることを妨げない。」

 

と、規定しています。

 

 

最大判昭和43年4月24日は

 

「 民法は、法律行為の代理について、代理人が本人のためにすることを示して意思表示をしなければ、本人に対しその効力を生じないものとして、いわゆる顕名主義を採用している(同法九九条一項)が、商法は、本人のための商行為の代理については、代理人が本人のためにすることを示さなくても、その行為は本人に対して効力を生ずるものとして、顕名主義に対する例外を認めている(同法五〇四条本文)のである。これは、営業主が商業使用人を使用して大量的、継続的取引をするのを通常とする商取引において、いちいち、本人の名を示すことは煩雑であり、取引の敏活を害する虞れがある一方、相手方においても、その取引が営業主のためされたものであることを知つている場合が多い等の事由により、簡易、迅速を期する便宜のために、とくに商行為の代理について認められた例外であると解される。
 しかし、この非顕名主義を徹底させるときは、相手方が本人のためにすることを知らなかつた場合に代理人を本人と信じて取引をした相手方に不測の損害を及ぼす虞れがないとはいえず、かような場合の相手方を保護するため、同条但書は、相手方は代理人に対して履行の請求をすることを妨げないと規定して、相手方の救済を図り、もつて関係当事者間の利害を妥当に調和させているのである。そして、右但書は善意の相手方を保護しようとする趣旨であるが、自らの過失により本人のためにすることを知らなかつた相手方までも保護する必要はないものというべく、したがつて、かような過失ある相手方は、右但書の相手方に包含しないものと解するのが相当である。

 かように、代理人に対して履行の請求をすることを妨げないとしている趣旨は、本人と相手方との間には、すでに同条本文の規定によつて、代理に基づく法律関係が生じているのであるが、相手方において、代理人が本人のためにすることを知らなかつたとき(過失により知らなかつたときを除く)は、相手方保護のため、相手方と代理人との間にも右と同一の法律関係が生ずるものとし、相手方は、その選択に従い、本人との法律関係を否定し、代理人との法律関係を主張することを許容したものと解するのが相当であり、相手方が代理人との法律関係を主張したときは、本人は、もはや相手方に対し、右本人相手方間の法律関係の存在を主張することはできないものと解すべきである。もとより、相手方が代理人に対し同人との法律関係を主張するについては、相手方において、本人のためにすることを知らなかつたことを主張し、立証する責任があり、また、代理人において、相手方が本人のためにすることを過失により知らなかつたことを主張し、立証したときは、代理人はその責任を免れるものと解するのが相当である。
 しかるに、原判決が「商法第五〇四条本文が適用されるのは相手方において代理人が本人のために行為したことを知りうべかりし場合にかぎる」旨判示したことは、商法五〇四条の解釈を誤つたものであるが、原判決は「本件について……代理関係の存在を認めうべき事情又は外観が全く存在せず相手方たる控訴人において右訴外会社代表者Dが被控訴人のために行為したことは到底これを知り得べきでなかつた」旨認定しており、被上告人において、上告人との取引関係を否定し、本件売買契約の一方の当事者は訴外E株式会社であつて上告人ではないとして、右訴外会社との法律関係を主張していることは、記録上明らかであるから、上告人は、被上告人に対し、右訴外会社代表者Dの代理行為に基づいて生じた被上告人との間の法律関係を主張することはできないものというべく、右法律関係を前提とする上告人の本訴請求は、理由がないといわなければならない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、アもウも誤りです。