刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1265

乙:'Cause we all get lost sometimes, you know?

It's how we learn and how we grow

 

出典:Major Lazer – Cold Water Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:get lostで道に迷うという意味でしょうか。

 

 

今日の問題は、新司法試験平成19年民事系第50問アとイとウとオです。

 

A株式会社がB信用金庫の組合員である場合について(中略)

ア. B信用金庫がA株式会社に対し事業資金を融資するために消費貸借契約を締結した場合においては,B信用金庫のA株式会社に対する元利金支払請求権の消滅時効期間は5年である。

イ. B信用金庫がA株式会社に対し事業資金を融資するために消費貸借契約を締結した場合において,B信用金庫に対するA株式会社の債務を商人でないC(自然人)が保証した場合には,当該保証は連帯保証となる。

ウ. B信用金庫がA株式会社から第三者振出しの約束手形の取立委任を受けて占有しているときは,B信用金庫は,B信用金庫がA株式会社に対し事業資金を融資するために締結した消費貸借契約に基づくA株式会社に対する元利金支払請求権を被担保債権として,この約束手形について商事留置権を有する。

オ. B信用金庫とA株式会社との間に当座勘定取引が行われているときは,当該取引は商法にいう交互計算契約に該当し,いわゆる交互計算不可分の原則の適用がある。


 

 甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:アについて、商法522条本文は


商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。


会社法5条は


会社(外国会社を含む。次条第一項、第八条及び第九条において同じ。)がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする。


と、規定しています。



イについて、最判昭和63年10月18日は

 

「  信用金庫法に基づいて設立された信用金庫は、国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資するために設けられた協同組織による金融機関であり、その行うことのできる業務の範囲は次第に拡大されてきているものの、それにより右の性格に変更を来しているとはいえず、信用金庫の行う業務は営利を目的とするものではないというべきであるから、信用金庫は商法上の商人には当たらないと解するのが相当である(最高裁昭和四六年(オ)第七八一号同四八年一〇月五日第二小法廷判決・裁判集民事一一〇号一六五頁参照)。そして、信用金庫の行うことのできる業務の性質が右のとおりである以上、特定の取引行為についてだけ信用金庫が商人に当たると解することもできないというべきである。したがつて、商事留置権の成立を否定した原審の判断は正当として是認することができる。」

 

と、判示しています。

 

 

会社法5条は

 

「会社(外国会社を含む。次条第一項、第八条及び第九条において同じ。)がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする。」

 

 

商法511条2項は

 

「保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、又は保証が商行為であるときは、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、その債務は、各自が連帯して負担する。」

 

と、規定しています。



ウについて、商法521条本文は


「商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる。


と、規定しています。



最判昭和63年10月18日は


  信用金庫法に基づいて設立された信用金庫は、国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資するために設けられた協同組織による金融機関であり、その行うことのできる業務の範囲は次第に拡大されてきているものの、それにより右の性格に変更を来しているとはいえず、信用金庫の行う業務は営利を目的とするものではないというべきであるから、信用金庫は商法上の商人には当たらないと解するのが相当である(最高裁昭和四六年(オ)第七八一号同四八年一〇月五日第二小法廷判決・裁判集民事一一〇号一六五頁参照)。そして、信用金庫の行うことのできる業務の性質が右のとおりである以上、特定の取引行為についてだけ信用金庫が商人に当たると解することもできないというべきである。したがつて、商事留置権の成立を否定した原審の判断は正当として是認することができる。


と、判示しています。


オについて


「当座勘定取引も交互計算の一種であるが,期間中の顧客からの入金及び顧客が振り出した手形・小切手による金融機関の支払をその都度自動的に相殺することから,商法上の交互計算とは異なり,交互計算不可分の原則は適用されない。」

 

辰已法律研究所『平成28年版 肢別本5 民事系商法』507頁


 

したがって、上記記述は、アとイが正しく、ウとオが誤りです。