刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1445

乙:And tie up a few loose ends

出典:https://youtu.be/1QJrxQRFbkA

感想:アルクによると、tie up loose endsで仕上げる、終えるという意味だそうです。


今日の問題は、予備試験平成28年商法第29問アとイです。

手形の善意取得に関する(中略)
ア.判例の趣旨によれば,裏書の連続する手形の所持人から裏書により当該手形を譲り受ける者であっても,当該所持人が当該手形を所持することにつき疑念を抱いてしかるべき事情が認められる場合には,振出人又は支払担当銀行に照会するなどの方法で調査をしなければ,手形を善意取得することができない。
イ.善意取得は,手形の承継取得の一例である。


甲先生、よろしくお願いします!


甲:アについて、手形法16条は

「為替手形ノ占有者ガ裏書ノ連続ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ之ヲ適法ノ所持人ト看做ス最後ノ裏書ガ白地式ナル場合ト雖モ亦同ジ抹消シタル裏書ハ此ノ関係ニ於テハ之ヲ記載セザルモノト看做ス白地式裏書ニ次デ他ノ裏書アルトキハ其ノ裏書ヲ為シタル者ハ白地式裏書ニ因リテ手形ヲ取得シタルモノト看做ス
○2 事由ノ何タルヲ問ハズ為替手形ノ占有ヲ失ヒタル者アル場合ニ於テ所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ手形ヲ返還スル義務ヲ負フコトナシ但シ所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ之ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ」

と、規定しています。


最判昭和52年6月20日は

「原判決挙示の証拠関係によれば、上告人が訴外野村平吉から本件手形を取得するに際し、同訴外人が本件各手形を所持することにつき疑念を懐いて然るべき事情が認められるとした原審の認定はこれを肯定するに足り、手形振出名義人又は支払担当銀行に照会するなどなんらかの方法で手形振出の真否につき調査をすべき注意義務があったにも拘らず、なんらの調査をしなかった上告人に重大な過失があるとした原審の判断も相当であって、右の認定・判断の過程に所論の違法はない。」

と、判示しています。


イについて

「善意取得(手形法16条2項)の効果は,法文上は,「返還請求の制限」である。しかし,取得者に返還請求の制限の保護を与えるのみでは足らず,権利行使を認める必要があるため,善意取得者は,善意取得の効果として,手形上の権利を原始取得すると解されている。よって,善意取得は承継取得ではなく,原始取得の一例である。」

辰已法律研究所『平成28年版 肢別本5 民事系商法』581頁


したがって、上記記述は、アが正しく、イが誤りです。