刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1549

乙:Someone we look up to

出典:https://youtu.be/Y5IJS7RNWlg

感想:アルクによると、look up toは尊敬するという意味のようです。


今日の問題は、新司法試験平成19年民事系第48問ウです。

株主総会における瑕疵ある決議についての訴訟に関する(中略)
ウ. 計算書類承認の株主総会決議の取消訴訟の係属中に,翌期以後の計算書類が承認された場合であっても,原告が勝訴すれば決議がさかのぼって無効になることから,その後にその議案につき再決議がされたなどの特別の事情のない限り,訴えの利益は失われない。


甲先生、よろしくお願いします!


甲:最判昭和58年6月7日は

「株主総会決議取消の訴えのような形成の訴えは、法律に規定のある場合に限つて許される訴えであるから、法律の規定する要件を充たす場合には訴えの利益の存するのが通常であるけれども、その後の事情の変化により右利益を喪失するに至る場合のあることは否定しえないところである。しかして、被上告人らの上告人に対する本訴請求は、昭和四五年一一月二八日に開催された上告会社の第四二回定時株主総会における「昭和四五年四月一日より同年九月三〇日に至る第四二期営業報告書、貸借対照表、損益計算書、利益金処分案を原案どおり承認する」旨の本件決議について、その手続に瑕疵があることを理由として取消を求めるものであるところ、その勝訴の判決が確定すれば、右決議は初めに遡つて無効となる結果、営業報告書等の計算書類については総会における承認を欠くことになり、また、右決議に基づく利益処分もその効力を有しないことになつて、法律上再決議が必要となるものというべきであるから、その後に右議案につき再決議がされたなどの特別の事情がない限り、右決議取消を求める訴えの利益が失われることはないものと解するのが相当である。
 そこで、叙上の見地に立つて、本件につきかかる特別の事情が存するか否かについて検討する。この点に関し、論旨は、本件決議が取り消されたとしても、右決議ののち第四三期ないし第五四期の各定時株主総会において各期の決算案は承認されて確定しており、右決議取消の効果は、右第四三期ないし第五四期の決算承認決議の効力に影響を及ぼすものではないから、もはや本件決議取消の訴えはその利益を欠くに至つたというのであるが、株主総会における計算書類等の承認決議がその手続に法令違反等があるとして取消されたときは、たとえ計算書類等の内容に違法、不当がない場合であつても、右決議は既往に遡つて無効となり、右計算書類等は未確定となるから、それを前提とする次期以降の計算書類等の記載内容も不確定なものになると解さざるをえず、したがつて、上告会社としては、あらためて取消された期の計算書類等の承認決議を行わなければならないことになるから、所論のような事情をもつて右特別の事情があるということはできない。また、論旨は、修正動議無視の瑕疵は、その後右動議にいう水俣病補償積立金及び水俣病対策積立金以上の額の水俣病の補償金及び対策費が支出され、右動議の目的がすでに達成されているので、右瑕疵は治癒され訴えの利益は失われたというが、被上告人らの上告人に対する本訴請求は、株主の入場制限及び修正動議無視という株主総会決議の手続的瑕疵を主張してその効力の否認を求めるものであるから、右修正動議の内容が後日実現されたということがあつても、そのことをもつて右特別の事情と認めるに足りず、他に右特別の事情を認めるに足る事実関係のない本件においては、訴えの利益を欠くに至つたものと解することはできない。これと同旨の原審の判断は、正当であつて、原判決に所論の違法はない。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、正しいです。