刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1628

乙:See you throwing stones in your glass house

出典:https://genius.com/Slowthai-and-skepta-cancelled-lyrics

感想:アルクによると、Those who live in glass houses should not throw stones.という諺があるようです。


今日の問題は、司法試験平成29年刑法第4問3と4です。

3.甲は,情を知らずに釣銭として偽造通貨を受け取ったところ,その後,それが偽造通貨であることに気付いたが,行使の目的でそのまま所持した。甲には偽造通貨収得罪が成立する。
4.甲は,行使の目的で,他人が振り出した額面10万円の小切手の金額欄に「0」を加え,額面100万円の小切手に改ざんした。甲には有価証券変造罪が成立する。


甲先生、よろしくお願いします!


甲:3について、刑法150条は

「行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、三年以下の懲役に処する。」

と、規定しています。


「構成要件的行為は,偽貨の収得である。これは,偽貨を偽貨と知りつつ取得する一切の行為を含む」

山口厚『刑法』386頁


4について、刑法162条1項は

「行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。」

と、規定しています。


最判昭和36年9月26日は

「行使の目的をもつてほしいままに右判示の如く他人振出名義の小切手の金額欄の金額数字を改ざんする所為は小切手の変造であつて有価証券変造罪に当るものと解すべきであるから、この点に関する原判示は刑法一六二条一項の解釈を誤まつたものというほかなく、論旨引用の大審院明治三四年(れ)七五九号同年五月三一日判決および同院大正三年(れ)一四二号同年五月七日判決の趣旨とも相反する訳ではあるが、しかし、有価証券の偽造、変造はともに同条同項に該当し、その各行使も同法一六三条一項に該当することに変りはないから、右法律解釈の誤は原判決に影響を及ぼさず、原判決破棄の理由とするに足らない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、3が誤りで、4が正しいです。