刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 1646

乙:今日の問題は、新司法試験平成22年民事系第10問アエオです。

共有に関する(中略)
ア.共有者全員が賃貸人となり共有物を目的とする賃貸借契約が締結された場合,その賃貸借契
約を解除するには,共有者全員が解除権を行使しなければならない。
エ.被相続人が遺言をしないで死亡したことにより相続人の共有となった財産の分割は,裁判所が判決手続によって行うことができない。
オ.要役地の共有者の一人のために時効の中断がある場合であっても,他の共有者との関係で
は,消滅時効は進行する。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?

甲:some of us wear masks

出典:https://youtu.be/PqzFi6PwTGA

感想:マスクを着けるはwearです。


乙:アについて、民法544条1項は

「当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。」

と、規定しています。

最判昭和39年2月25日は

「上告人が被上告人井阪に対し本件土地の貸借契約について解除の意思表示をした当時、上告人および訴外益子が本件土地について各二分の一の割合による共有持分を有していたことは、原判決の確定するところである。ところで、共有者が共有物を目的とする貸借契約を解除することは民法二五二条にいう「共有物ノ管理ニ関スル事項」に該当し、右貸借契約の解除については民法五四四条一項の規定の適用が排除されると解すべきことは所論のとおりであるから、原審が、上告人および訴外益子の共有物である本件土地を目的とする貸借契約の解除についても同項の規定が適用されることを前提として、上告人だけで右契約を解除することはできないとしたのは、法律の解釈を誤つたものというべきである。しかし、共有物を目的とする貸借契約の解除は民法二五二条但書にいう保存行為にあたらず,同条本文の適用を受ける管理行為と解するのが相当であり、前記確定事実によれば、上告人は本件土地について二分の一の持分を有するにすぎないというのであるから、同条本文の適用上、上告人が単独で本件貸借契約を解除することは、特別の事情がないかぎり、許されないものといわねばならない。」

と、判示しています。


エについて、最判昭和62年9月4日は

「遺産相続により相続人の共有となった財産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家事審判法の定めるところに従い、家庭裁判所が審判によってこれを定めるべきものであり、通常裁判所が判決手続で判定すべきものではないと解するのが相当である。したがって、これと同趣旨の見解のもとに、上告人の本件共有物分割請求の訴えを不適法として却下すべきものとした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はなく、所論引用の判例に抵触するものではない。論旨は、ひっきょう、独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。」

と、判示しています。


オについて、民法292条は

「要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の完成猶予又は更新があるときは、その完成猶予又は更新は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、アとオが誤りで、エが正しいです。