刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1655

乙:今日の問題は、新司法試験平成19年民事系第20問アとエです。


弁済による代位に関する(中略)
ア. 後順位抵当権者は,先順位抵当権者の被担保債権を代位弁済したときは,債権者に代位して
先順位抵当権を取得する。
エ. 代位弁済をした保証人が原債権を行使してその給付を請求する場合には,保証人は,主たる債務者に対する求償権の成立及びその内容について主張立証することを要しない。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?

甲:Fated to kill the sweetest things
One by one

出典:https://youtu.be/FDLWI3VQb40

感想:アルクによると、one by oneで一つずつという意味だそうです。


乙:アについて、民法499条は

「債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。」

同法474条2項は

「弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。」

と、規定しています。

大決昭和6年12月18日は

「債務ノ弁済ニ付正当ノ利益ヲ有スル者カ弁済ヲ為シタルトキハ其ノ者ハ之ニ因リ当然債権者ニ代位スルモ旧債権者ノ抵当権ハ之カ抛棄ヲ為サハ格別代位弁済ニ因リ当然ニハ消滅セサルコト民法第五百条ノ法意ニ徴シテ明ナルヲ以テ旧債権者ニ於テ抵当権実行ノ為既ニ競売ノ申立ヲ為シ該手続進行中ナリシ場合ニ於テハ裁判所ニ対スル競売申立取下ノ手続ニ依ルニ非サレハ該手続ノ廃止ハ之ヲ求ムルコトヲ得ス然ラハ則チ代位債権者カ弁済ヲ以テ基本抵当権ノ消滅ヲ主張シ競売手続ノ廃棄ヲ請求スルモ之ニヨリテ競売手続ノ進行ハ廃止セラルヘキニアラス然ルニ原決定カ論旨摘録ノ如ク説示シ代位債権者ノ右主張及請求ヲ以テ競売追行ノ権利ヲ抛棄シタルモノトナシ一方競売手続ハ基本タル抵当権ノ消滅ノ為最早続行ヲ許ササルニ至リタルモノト為シタルハ違法ニシテ論旨ハ理由アリ」

と、判示しています。

同法501条1項は

「前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。」

と、規定しています。


エについて、最判昭和61年2月20日は

「弁済による代位の制度は、代位弁済者の債務者に対する求償権を確保することを目的として、弁済によつて消滅するはずの債権者の債務者に対する債権(以下「原債権」という。)及びその担保権を代位弁済者に移転させ,代位弁済者がその求償権を有する限度で右の原債権及びその担保権を行使することを認めるものである。それゆえ、代位弁済者が代位取得した原債権と求償権とは、元本額、弁済期、利息・遅延損害金の有無・割合を異にすることにより総債権額が各別に変動し、債権としての性質に差違があることにより別個に消滅時効にかかるなど、別異の債権ではあるが、代位弁済者に移転した原債権及びその担保権は、求償権を確保することを目的として存在する附従的な性質を有し、求償権が消滅したときはこれによつて当然に消滅し、その行使は求償権の存する限度によつて制約されるなど、求償権の存在、その債権額と離れ、これと独立してその行使が認められるものではない。したがつて、代位弁済者が原債権及び担保権を行使して訴訟においてその給付又は確認を請求する場合には、それによつて確保されるべき求償権の成立、債権の内容を主張立証しなければならず、代位行使を受けた相手方は原債権及び求償権の双方についての抗弁をもつて対抗することができ、また、裁判所が代位弁済者の原債権及び担保権についての請求を認容する場合には、求償権による右のような制約は実体法上の制約であるから、求償権の債権額が常に原債権を上回るものと認められる特段の事情のない限り、判決主文において代位弁済者が債務者に対して有する求償権の限度で給付を命じ又は確認しなければならないものと解するのが相当である。
 右の見解に立つて、本件についてみるに、本件は、代位弁済者から債権譲渡を受けた被上告人が原債権たる本件貸金債権についての連帯保証人の相続人である上告人に対し代位取得にかかる原債権たる本件貸金債権を担保する本件連帯保証債権を行使してその履行を請求したのであるから、被上告人に対し、右の代位行使によつて確保されるべき求償権につきその発生、帰属、債権の内容を主張立証させてこれを確定し、かつ、判決主文において、被上告人が日信印刷に対して有する求償権の限度で上告人に対し連帯保証にかかる金員の支払を命じなければならないものというべきである。したがつて、求償権につきなんら確定せず、かつ、判決主文において求償権との関係を示すことなく、上告人に対し本件連帯保証債権にかかる金員の支払を命じた原判決には、審理不尽、理由不備の違法並びに判決の結論に影響を及ぼすことの明らかな法令の解釈適用の誤りがあり、原判決はこの点で破棄を免れない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アが正しく、エが誤りです。