刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1806

乙:今日の問題は、新司法試験平成18年公法系第7問Dです。

次の文章は,職業選択の自由を規制する法令の合憲性判断基準に関するものである。(中略)
最高裁判所は,職業選択の自由を規制する法令の合憲性に関して,[A] の判決において,積極的な社会経済政策を実施するための法的規制措置については,立法府がその裁量権を逸脱し,当該法的規制措置が著しく不合理であることが明白な場合に限って,これを違憲として,
その効力を否定することができる旨判示した。その後,[B] の判決では,職業の許可制について合憲性を肯定し得るためには,原則として,重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し,それが自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的,警察的措置である場合には,許可制に比べて職業の自由に対するより緩やかな制限
である職業活動の内容及び態様に対する規制によっては,その目的を十分に達成することができないと認められることを要する旨判示した。
 これらを受けて,職業選択の自由を規制する法令の合憲性審査基準に関して,判例はいわゆる
「目的二分論」に立っていると理解した上で,これを基本的に支持する見解がある一方で,規制目的と合憲性審査基準を対応させることについて批判的な見解もある。このような中,最高裁判所は,平成元年に,[C]において,ある小法廷が,[A]の判決と同様の合憲性審査基準を述べた上で,当該規制は違憲とすべき場合に当たらない旨判示したのに対して,別の小法廷は,そのような審査基準を述べることなく当該規定の合憲性を肯定して,判断手法が分かれた。 しかし,平成5年の[D] についての判決では,その規制目的に言及した上で,[A]の判決を引用して,当該規制は,その目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまるものであって,これが著しく不合理であることが明白であるとは認め難く,憲法第22条第1項に違反するということはできない旨判示した。
1. 薬局設置場所が配置の適正を欠くと認められることを都道府県知事による開設不許可事由と
した薬事法の規定の合憲性が争われた事案
2. たばこ事業法,同法施行規則及びこれを受けた大蔵大臣依命通達による製造たばこの小売販
売業に対する適正配置規制の合憲性が争われた事案
3. 公衆浴場設置場所が配置の適正を欠くと認められることを都道府県知事による経営不許可事
由とした公衆浴場法の規定の合憲性が争われた事案
4. 酒類の販売業を税務署長の免許制とし,その要件を定めている酒税法の規定の合憲性が争わ
れた事案
5. 都道府県知事の許可なく小売市場を開設することを禁じた小売商業調整特別措置法の規定の
合憲性が争われた事案
6. 司法書士及び公共嘱託登記司法書士協会以外の者が他人の嘱託を受けて登記に関する手続の
代理業務等を行うことを禁じた司法書士法の規定の合憲性が争われた事案

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:Every time I look over my shoulder
I’m getting older

出典:https://genius.com/Tei-shi-keep-running-lyrics

感想:アルクによると、look over one's shoulderは、自分の肩越しに見る、後ろを振り返る[気にする]などの意味です。


乙:最判平成5年6月25日は

「たばこ事業法二二条は、たばこ専売法(昭和五九年法律第六八号により廃止)の下において指定を受けた製造たばこの小売人には零細経営者が多いことや身体障害者福祉法等の趣旨に従って身体障害者等についてはその指定に際して特別の配慮が加えられてきたことなどにかんがみ、たばこ専売制度の廃止に伴う激変を回避することによって、たばこ事業法附則一〇条一項に基づき製造たばこの小売販売業を行うことの許可を受けた者とみなされる右小売人の保護を図るため、当分の間に限り、製造たばこの小売販売業について許可制を採用することとしたものであり、右許可制の採用は、公共の福祉に適合する目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまる措置ということができる。そして、同法二三条三号、同法施行規則二〇条二号及びこれを受けた大蔵大臣依命通達(昭和六〇年三月二八日付け蔵専第五六号)による製造たばこの小売販売業に対する適正配置規制は、右目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまるものであって、これが著しく不合理であることが明白であるとは認め難い。したがって、製造たばこの小売販売業に対する右規制が、憲法二二条一項に違反するということはできない。以上は、最高裁昭和四五年(あ)第二三号同四七年一一月二二日大法廷判決・刑集二六巻九号五八六頁の趣旨に徴して明らかである。これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違憲はない。」

と、判示しています。


したがって、[D]には2が入ります。