刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1808

乙:今日の問題は、新司法試験平成22年公法系第9問ウです。

財産権の制限に関する①及び②の最高裁判所の判決に関する(中略)
① 共有森林分割制限を定める森林法の規定を違憲であると判断した判決(最高裁判所昭和62年4月22日大法廷判決,民集41巻3号408頁)
② 上場会社等の役員又は主要株主による当該会社の株式等に係る短期売買利益返還義務を定める証券取引法(現行金融商品取引法)の規定を合憲であると判断した判決(最高裁判所平成14年2月13日大法廷判決,民集56巻2号331頁)
ウ.①及び②の判決は,いずれも,財産権に規制を加える立法について規制目的の正当性は認めている。その上で,規制手段の必要性及び合理性に関して,①の判決はこれが認められないと
判断したのに対し,②の判決はこれが認められると判断したものである。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:I could leave myself, I can't stand the pain

出典:https://genius.com/James-vickery-lately-lyrics

感想:アルクによると、can't standは、~には我慢ならない、我慢できない、閉口する、むしゃくしゃするです。


乙:最大判昭和62年4月22日は

「共有森林の共有者間の権利義務についての規制は、森林経営の安定を直接的目的とする前示の森林法一八六条の立法目的と関連性が全くないとはいえないまでも、合理的関連性があるとはいえない。
 森林法は、共有森林の保存、管理又は変更について、持分価額二分の一以下の共有者からの分割請求を許さないとの限度で民法第三章第三節共有の規定の適用を排除しているが、そのほかは右共有の規定に従うものとしていることが明らかであるところ、共有者間、ことに持分の価額が相等しい二名の共有者間において、共有物の管理又は変更等をめぐつて意見の対立、紛争が生ずるに至つたときは、各共有者は、共有森林につき、同法二五二条但し書に基づき保存行為をなしうるにとどまり、管理又は変更の行為を適法にすることができないこととなり、ひいては当該森林の荒廃という事態を招来することとなる。同法二五六条一項は、かかる事態を解決するために設けられた規定であることは前示のとおりであるが、森林法一八六条が共有森林につき持分価額二分の一以下の共有者に民法の右規定の適用を排除した結果は、右のような事態の永続化を招くだけであつて、当該森林の経営の安定化に資することにはならず、森林法一八六条の立法目的と同条が共有森林につき持分価額二分の一以下の共有者に分割請求権を否定したこととの間に合理的関連性のないことは、これを見ても明らかであるというべきである。」

最大判平成14年2月13日は

「次に,規制の内容等についてみると,同項は,外形的にみて上記秘密の不当利用のおそれのある取引による利益につき,個々の具体的な取引における秘密の不当利用や一般投資家の損害発生という事実の有無を問うことなく,その提供請求ができることとして,秘密を不当に利用する取引への誘因を排除しようとするものである。上記事実の有無を同項適用の積極要件又は消極要件とするとすれば,その立証や認定が実際上極めて困難であることから,同項の定める請求権の迅速かつ確実な行使を妨げ,結局その目的を損なう結果となり兼ねない。また,同項は,同条8項に基づく内閣府令で定める場合又は類型的にみて取引の態様自体から秘密を不当に利用することが認められない場合には適用されないと解すべきことは前記のとおりであるし,上場会社等の役員又は主要株主が行う当該上場会社等の特定有価証券等の売買取引を禁止するものではなく,その役員又は主要株主に対し,一定期間内に行われた取引から得た利益の提供請求を認めることによって当該利益の保持を制限するにすぎず,それ以上の財産上の不利益を課するものではない。これらの事情を考慮すると,そのような規制手段を採ることは,前記のような立法目的達成のための手段として必要性又は合理性に欠けるものであるとはいえない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、正しいです。