刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1815

乙:今日の問題は、司法試験平成26年公法系第10問イとウです。

社会保障制度の合憲性をめぐる理由に関する(中略)
イ.障害基礎年金の受給に関し,保険料の拠出要件を緩和するか否かは国の財政事情等に密接に関連するから,保険料負担能力のない20歳以上60歳未満の者のうち学生とそれ以外の者との間に障害基礎年金の受給に関し差異が生じていたとしても,不合理とはいえない。
ウ.生活保護法に基づいて生活保護を受けるのは,単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく,法的権利であるから,保護基準の改定(老齢加算の廃止)に基づく保護
の不利益変更は,その改定自体に正当な理由がない限り違法となる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:Why not come and dance?

出典:https://youtu.be/T0MTqhf9xPo

感想:Why don't weに言い換えられる気がします。


乙:イについて、最判平成19年9月28日は

「平成元年改正前の法が,20歳以上の学生の保険料負担能力,国民年金に加入する必要性ないし実益の程度,加入に伴い学生及び学生の属する世帯の世帯主等が負うこととなる経済的な負担等を考慮し,保険方式を基本とする国民年金制度の趣旨を踏まえて,20歳以上の学生を国民年金の強制加入被保険者として一律に保険料納付義務を課すのではなく,任意加入を認めて国民年金に加入するかどうかを20歳以上の学生の意思にゆだねることとした措置は,著しく合理性を欠くということはできず,加入等に関する区別が何ら合理的理由のない不当な差別的取扱いであるということもできない。
 確かに,加入等に関する区別によって,前記のとおり,保険料負担能力のない20歳以上60歳未満の者のうち20歳以上の学生とそれ以外の者との間に障害基礎年金等の受給に関し差異が生じていたところではあるが,いわゆる拠出制の年金である障害基礎年金等の受給に関し保険料の拠出に関する要件を緩和するかどうか,どの程度緩和するかは,国民年金事業の財政及び国の財政事情にも密接に関連する事項であって,立法府は,これらの事項の決定について広範な裁量を有するというべきであるから,上記の点は上記判断を左右するものとはいえない。
 そうすると,平成元年改正前の法における強制加入例外規定を含む20歳以上の学生に関する上記の措置及び加入等に関する区別並びに立法府が平成元年改正前において20歳以上の学生について国民年金の強制加入被保険者とするなどの所論の措置を講じなかったことは,憲法25条,14条1項に違反しない。」

ウについて、最判平成24年2月28日は

「上告人らは,本件改定は,被保護者は正当な理由がなければ既に決定された保護を不利益に変更されることがないと定める生活保護法56条に反すると主張する。しかし,同条は,既に保護の決定を受けた個々の被保護者の権利及び義務について定めた規定であって,保護の実施機関が被保護者に対する保護を一旦決定した場合には,当該被保護者について,同法の定める変更の事由が生じ,保護の実施機関が同法の定める変更の手続を正規に執るまでは,その決定された内容の保護の実施を受ける法的地位を保障する趣旨のものであると解される。このような同条の規定の趣旨に照らすと,同条にいう正当な理由がある場合とは,既に決定された保護の内容に係る不利益な変更が,同法及びこれに基づく保護基準の定める変更,停止又は廃止の要件に適合する場合を指すものと解するのが相当である。したがって,保護基準自体が減額改定されることに基づいて保護の内容が減額決定される本件のような場合については,同条が規律するところではないというべきである。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、イが正しく、ウが誤りです。