刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1816

乙:今日の問題は、司法試験平成27年憲法第7問アです。

憲法第25条に関する(中略)
ア.憲法第25条第1項で定める救貧施策においては国民の最低限度の生活を保障しなければならないが,同条第2項で定める防貧施策においては広い立法裁量が認められると解する立場によっても,救貧施策は生活保護法による公的扶助に限定されないと解することはできる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:Look beyond your wall
Bend your own rules
See how far you fall
‘Cause I bet it won’t kill you

出典:https://theinfobytes.com/safe-from-heartbreak-if-you-never-fall-in-love-lyrics-wolf-alice/amp/

感想:I betは賭けるという意味ではなく、思うという意味もあります。

ご参考:https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/bet_1?q=Bet


乙:大阪高判昭和50年11月10日は

「憲法第二五条第一項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定しているが、この規定は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運用すべきことを国の責務として宣言し、また、同条第二項は、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定する。この規定は社会生活の推移に伴う積極主義の政治である社会的施策の拡充増強により、国民の社会生活水準の確保向上に努力すべき国の責務を宣言したものである。憲法第二五条の第一第二項を通じ、国はこれに対応して国民一般に対して概括的にかかる責務を負担し、これを国政上の任務としなければならないのであるけれども、個々の国民は、直接これにより、国に対し具体的、現実的な権利を有するものではない。国民の本条による具体的権利は、本条の規定の趣旨を実現するために制定される個々の法律によつて、はじめて与えられるのである。そして、本条第一項について、これをみれば、同項による国民の具体的な最低限度の生活保障請求権は同項の規定の趣旨を実現するために制定された生活保護法によつて、はじめて与えられているというべきである(生活保護法第一条、第三条、第四条、第八条、第九条参照、なお最高大法廷判昭和二三・九・二九刑集二巻一〇号一二三五頁、同昭和四二・五・二四民集二一巻五号一〇四三頁)。

 「また、本条第二項による国の責務の遂行には,当然に財政措置を伴うものであり、而も財政には制約があるから、国は国家財政、予算の配分との関連において、できる限り、社会生活水準の向上及び増進に努めればよく、それをもつて同条項の規定の趣旨に十分合致するものと解すべきである。
 そうして、国が右のような努力を続けることによつて、国民の生活水準が相対的に向上すれば、国民の最低限度に満たない生活から脱却する者が多くなるが、それでもなお最低限度の生活を維持し得ない者もあることは否定することはできないので、この落ちこぼれた者に対し、国は更に本条第一項の「健康で文化的な最低生活の保障」という絶対的基準の確保を直接の目的とした施策をなすべき責務があるのである。すなわち、本条第二項は国の事前の積極的防貧施策をなすべき努力義務のあることを、同第一項は第二項の防貧施策の実施にも拘らず、なお落ちこぼれた者に対し、国は事後的、補足的且つ個別的な救貧施策をなすべき責務のあることを各宣言したものであると解することができる。」

と、判示しています。

「本記述の採用する1項・2項分離説は,この原審判決の見解に限定されるわけではなく,1項・2項分離説を採用したとしても,救貧政策は生活保護法による公的扶助に限定されないと解することはできる。なぜなら,生活保護法が申請保護主義を原則としている結果,要保護者が必ずしもすべて自動的に同法により保護されるとは限らないことを考慮すると,例えば,年金,手当てのような無拠出の社会福祉立法に該当する施策であっても,実質的には1項の救貧施策の機能を果たしていると捉えるべきケースもあり得るからである。」

辰巳法律研究所『平成29年版 司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト1 公法系憲法』466頁


したがって、上記記述は、正しいです。