刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1824

乙:今日の問題は、予備試験憲法平成23年第9問アとウです。

司法権の限界に関する(中略)
ア.大学は,その設置目的を達成するために必要な事項を実施する,自律的,包括的な権能を有していることから,単位の授与や専攻科修了の認定に係る係争は,一般市民法秩序と直接の関係を有すると認められる特段の事情のない限り,司法審査の対象とはならない。
ウ.地方議会における自律的な法規範の実現については,内部規律の問題として自治的措置に任
せるのが適当であるが,数日間に及ぶ議会への出席停止の懲罰は,議員の重大な権利行使に対する制限であり,単なる内部規律の問題に止まらないから,司法審査の対象となる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:Hang my head where I leave my soul on the only road I’ve ever known

出典:https://youtu.be/XXQKSCdKHiQ

感想:アルクによると、hang one's headは、〔恥ずかしくて〕顔を伏せる[下に向ける]という意味です。


乙:アについて、最判昭和52年3月15日は

「思うに、国公立の大学は公の教育研究施設として一般市民の利用に供されたものであり、学生は一般市民としてかかる公の施設である国公立大学を利用する権利を有するから、学生に対して国公立大学の利用を拒否することは、学生が一般市民として有する右公の施設を利用する権利を侵害するものとして司法審査の対象になるものというべきである。そして、右の見地に立つて本件をみるのに、大学の専攻科は、大学を卒業した者又はこれと同等以上の学力があると認められる者に対して、精深な程度において、特別の事項を教授し、その研究を指導することを目的として設置されるものであり(学校教育法五七条)、大学の専攻科への入学は、大学の学部入学などと同じく、大学利用の一形態であるということができる。そして、専攻科に入学した学生は、大学所定の教育課程に従いこれを履修し専攻科を修了することによつて、専攻科入学の目的を達することができるのであつて、学生が専攻科修了の要件を充足したにもかかわらず大学が専攻科修了の認定をしないときは、学生は専攻科を修了することができず、専攻科入学の目的を達することができないのであるから、国公立の大学において右のように大学が専攻科修了の認定をしないことは、実質的にみて、一般市民としての学生の国公立大学の利用を拒否することにほかならないものというべく、その意味において、学生が一般市民として有する公の施設を利用する権利を侵害するものであると解するのが、相当である。されば、本件専攻科修了の認定、不認定に関する争いは司法審査の対象になるものというべく、これと結論を同じくする原審の判断は、正当として是認することができる。」

と、判示しています。


ウについて、最大判昭和35年10月19日は

「自律的な法規範をもつ社会ないしは団体に在つては、当該規範の実現を内部規律の問題として自治的措置に任せ、必ずしも、裁判にまつを適当としないものがあるからである。本件における出席停止の如き懲罰はまさにそれに該当するものと解するを相当とする。(尤も昭和三五年三月九日大法廷判決ー民集一四巻三号三五五頁以下ーは議員の除名処分を司法裁判の権限内の事項としているが、右は議員の除名処分の如きは、議員の身分の喪失に関する重大事項で、単なる内部規律の問題に止らないからであつて、本件における議員の出席停止の如く議員の権利行使の一時的制限に過ぎないものとは自ら趣を異にしているのである。従つて、前者を司法裁判権に服させても、後者については別途に考慮し、これを司法裁判権の対象から除き、当該自治団体の自治的措置に委ねるを適当とするのである。)」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アもウも誤りです。