刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1845

乙:今日の問題は、司法試験平成28年民法第33問アとエです。

共同相続に関する(中略)
ア.共同相続人であるAとBの間で遺産分割協議が成立した場合において,Aがその協議におい
て負担した債務を履行しないときであっても,BはAの債務不履行を理由に遺産分割協議を解
除することはできない。
エ.A及びBがCに対して400万円の連帯債務を負担していたところ,Aが死亡し,その妻D及び子Eが相続した場合,Cは,Eに対して,Aの負担していた400万円の債務全額の支払
を請求することができる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:Used to let em walk all on me

出典:https://genius.com/Khalif-bryant-mr-bryant-lyrics

感想:アルクによると、walk onは、~の上を歩く、(人)の感情を踏みつけにする、~の気持ちを踏みにじるなどの意味です。


乙:アについて、民法541条は

「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。」

同法909条本文は

「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。」

と、規定しています。

最判平成元年2月9日は

「共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人が他の相続人に対して右協議において負担した債務を履行しないときであつても、他の相続人は民法五四一条によつて右遺産分割協議を解除することができないと解するのが相当である。けだし、遺産分割はその性質上協議の成立とともに終了し、その後は右協議において右債務を負担した相続人とその債権を取得した相続人間の債権債務関係が残るだけと解すべきであり、しかも、このように解さなければ民法九〇九条本文により遡及効を有する遺産の再分割を余儀なくされ、法的安定性が著しく害されることになるからである。以上と同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。」

と、判示しています。


エについて、最判昭和34年6月19日は

「連帯債務は、数人の債務者が同一内容の給付につき各独立に全部の給付をなすべき債務を負担しているのであり、各債務は債権の確保及び満足という共同の目的を達する手段として相互に関連結合しているが、なお、可分なること通常の金銭債務と同様である。ところで、債務者が死亡し、相続人が数人ある場合に、被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継するものと解すべきであるから(大審院昭和五年(ク)第一二三六号,同年一二月四日決定、民集九巻一一一八頁、最高裁昭和二七年(オ)第一一一九号、同二九年四月八日第一小法廷判決、民集八巻八一九頁参照)、連帯債務者の一人が死亡した場合においても、その相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解するのが相当である。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アが正しく、エが誤りです。