刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1849

乙:今日の問題は、司法試験平成29年民法第7問イとエです。

登記に関する(中略)
イ.A所有の甲土地及び乙土地に抵当権を有するBは,甲土地の抵当権設定の登記の抹消をす
るつもりで,誤って乙土地の抵当権設定の登記の抹消を申請し,その旨の登記がされた。こ
の場合でも,Bは,乙土地の抵当権設定の登記の抹消後に上記事情を知らずに乙土地に抵当
権の設定を受けたCに対し,Bの抵当権が優先することを主張することができる。
エ.Aは,B所有の土地上に権原なく建物を建築して居住しているが,Cと通謀してその建物
についてAからCへの所有権移転登記をした。Cが実際にはその建物を所有したことがない
場合でも,Cは,Bに対し,建物収去土地明渡の義務を負う。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:You’re short of breath

出典:https://youtu.be/-aOragcEovc

感想:アルクによると、short of breathは、息切れがする、呼吸が苦しいなどの意味です。


乙:イについて、民法177条は

「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」

と、規定しています。

最判昭和42年9月1日は

「本件のごとく登記権利者の代理人の申請によつて登記が抹消された場合には、たとえ代理人に錯誤があつたとしても、取引の安全保護のために、第三者対抗力を喪失すると解すべきである(昭和一五年六月二九日大審院判決・民集一九巻一一一八頁参照)。」

と、判示しています。


エについて、最判平成6年2月8日は

「土地所有権に基づく物上請求権を行使して建物収去・土地明渡しを請求するには、現実に建物を所有することによってその土地を占拠し、土地所有権を侵害している者を相手方とすべきである。したがって、未登記建物の所有者が未登記のままこれを第三者に譲渡した場合には、これにより確定的に所有権を失うことになるから、その後、その意思に基づかずに譲渡人名義に所有権取得の登記がされても、右譲渡人は、土地所有者による建物収去・土地明渡しの請求につき、建物の所有権の喪失により土地を占有していないことを主張することができるものというべきであり(最高裁昭和三一年(オ)第一一九号同三五年六月一七日第二小法廷判決・民集一四巻八号一三九六頁参照)、また、建物の所有名義人が実際には建物を所有したことがなく、単に自己名義の所有権取得の登記を有するにすぎない場合も、土地所有者に対し、建物収去・土地明渡しの義務を負わないものというべきである(最高裁昭和四四年(オ)第一二一五号同四七年一二月七日第一小法廷判決・民集二六巻一〇号一八二九頁参照)。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アが誤りで、エが正しいです。