刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1859

乙:今日の問題は、司法試験平成26年民事系第23問アとイです。

売買に関する(中略)
ア.買主は,目的物の引渡しを先に受けた場合でも,目的物の引渡しを受けた場所において代金
を支払わなければならない。
イ.売主は,目的物の引渡しを遅滞している場合でも,引渡しまでは,これを使用し果実を取得することができるが,買主が代金を支払った後は,果実を取得することはできない。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:If I were you I’d challenge what you think you knew for sure

出典:https://youtu.be/I0CS9r9HUBg

感想:アルクによると、challengeは〔正当性を〕疑うなどの意味です。


乙:アについて、民法574条は

「売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは、その引渡しの場所において支払わなければならない。」

と、規定しています。

大判昭和2年12月27日は

「若上告人主張ノ如ク右造作カ既ニ引渡済ナリトセハ民法第五百七十四条ノ適用ナク其ノ代金債務ヲ履行スヘキ場所ハ別段ノ意思表示ナキ限リ民法第四百八十四条ニ依リ上告人ノ住所ニシテ本訴ハ民事訴訟法第十八条ニ依リ右住所ヲ管轄スル区裁判ニ提起シ得ルモノト云ハサルヘカラス」

と、判示しています。


イについて、民法575条1項は

「まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属する。」

大判昭和7年3月3日は

「民法第五百七十五条第一項ハ本来売買ノ目的物ノ引渡前ニ於テ売主ト買主トノ間ニ生スル諸種ノ錯雑ナル関係ヲ相消セシムル為設ケラレタル規定ニ相違ナキモ而モ尚衡平ノ観念ヲ度外視シタルモノニハ非ラサルカ故ニ売主ヲシテ代金ノ利用ト果実ノ取得トノ二重ノ利益ヲ獲得セシムルカ如キハ其ノ法意ニ適合セサルモノト云フヘク従テ既ニ代金ノ支払ヲ受ケナカラ尚且引渡スヘキ目的物ヲ引渡サスシテ占有スル売主ハ其ノ目的物ヨリ生スル果実ヲ取得シ得サルモノト為スヲ以テ右法条ノ律意ニ副フモノト云フヘシ然ラハ本件ニ於テハ上告人ハ既ニ代金ヲ受取リ売却シタル家屋ヲ被上告人ニ引渡スヘキ関係ニ在リナカラ其ノ引渡ヲ為ササリシモノナルコト明ナルヲ以テ該家屋ヨリ生スル果実ハ取得スルニ由ナキモノト云フヘク結局前掲民法ノ規定ハ本件ニハ其ノ適用ナキニ帰スルヲ以テ之ヲ顧ミサリシ原判決ハ結局正当ナリト云フヘシ」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アが誤りで、イが正しいです。