刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1864

乙:今日の問題は、司法試験平成28年民法第25問ウとオです。

不動産賃貸借に関する(中略)
ウ.対抗力のない賃借権が設定されている土地の所有権の譲渡において,新所有者が旧所有者の
賃貸人としての地位を承継するには,賃借人の承諾は必要でない。
オ.建物賃貸借契約において,当該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位の承継があった場合
は,承継の時点で旧賃貸人に対する未払の賃料債務があっても,旧賃貸人に差し入れられた敷
金全額についての権利義務関係が新賃貸人に承継される。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:I know that we can heal over time

出典:https://genius.com/The-killers-the-world-we-live-in-lyrics

感想:アルクによると、over timeは、時間と共に、時がたつにつれて、経時的に、そのうちに、などの意味です。


乙:ウについて、民法605条の3は

「不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。」

と、規定しています。


オについて、民法622条の2第1項柱書は

「賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。」

同法605条の2第1,2,4項は

「前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、ウが正しく、オが誤りです。