刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2162

乙:Sentiment's the same but the pair of feet change

出典:https://genius.com/Sylvan-esso-coffee-lyrics

感想:pair of feetは、単数扱いになるので、changesかもしれません。


今日の問題は、予備試験令和元年刑法第6問ウとエです。

ウ.会社の代表取締役が,個人として同社から貸付けを受けていた債務についての抵当権抹消登記手続をするため,その権限を濫用し,代表取締役名義の債権放棄書を作成した場合,私文書偽造罪は成立しない。
エ.公文書の内容を改ざんし,これを原稿としてファクシミリで相手方に送信した場合,送信に供した当該原稿が公文書偽造罪の客体であって,受信書面は同罪の客体とならない。

甲先生、よろしくお願いします!


甲:ウについて、大判大正11年10月20日は

「他人ノ代表者又ハ代理人カ其ノ代表名義若ハ代理名義ヲ用ヒ又ハ直接ニ本人ノ商号ヲ使用シテ文書ヲ作成スル権限ヲ有スル場合偶々其ノ地位ヲ濫用シテ単ニ自己又ハ第三者ノ利益ヲ図ル目的ヲ以テ擅ニ其ノ代表若ハ代理名義又ハ直接ニ本人ノ商号ヲ用ヒ文書ヲ作成シタルトキト雖文書偽造罪ハ成立スルモノニ非ス」

と、判示しています。


エについて、広島高裁岡山支部判平成8年5月22日は

「ファクシミリによる文書の写しの社会的機能と信用性についてみると、真正な原本を原形のまま正確に複写したかのような形式、外観を有するファクシミリによる文書の写しは、一般には、同一内容の原本が存在することを信用させ、原本作成者の意識内容が表示されているものと受け取られて、証明用文書としての社会的機能と信用性があることは否定できず、その信用性の程度については、文書の作成名義、文書の様式及び規格等の体裁、記載内容、文書を行使する人物等の要素によって異なるものである。もとより、文書の本来の性質上、その存在自体が法律上又は社会生活上重要な意味をもっている文書、或いは人の重要な権利の行使に関して必要な文書などにおいては、ファクシミリによる文書の写しを原本の代用としてまでは認められないとしても、その他の分野においては、隔地者間における即時性のある証明用文書として有用なものとして利用されていることは明らかである。この点においても、複写機械による写しとの間に格別の差異があるとはいえない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、ウが正しく、エが誤りです。