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しほうちゃれんじ 2286

乙:今日の問題は、令和4年司法試験民法第34問アです。

 

Aの相続財産の取得に関する(中略)

ア.甲土地の共有持分がAの相続財産に属する場合において、Aに相続人がおらず、かつAの債 権者も受遺者もいないときは、その持分は他の共有者に帰属し、特別縁故者への分与の対象と
ならない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:No weapon shall prosper while aiming at me

 

出典:https://youtu.be/znkd-TMBN20

 

感想:アルクによると、aim atは、〔銃などで標的〕を狙う、などの意味です。

 

 

乙:民法958条の3(改正後958条の2第1項)は

 

「前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。」

 

同法255条は

 

共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

 

と、規定しています。

 

最判平成元年11月24日は

 

「昭和三七年法律第四〇号による改正前の法は、相続人不存在の場合の相続財産の国庫帰属に至る手続として、九五一条から九五八条において、相続財産法人の成立、相続財産管理人の選任、相続債権者及び受遺者に対する債権申出の公告、相続人捜索の公告の手続を規定し、九五九条一項において「前条の期間内に相続人である権利を主張する者がないときは、相続財産は、国庫に帰属する。」と規定していた。
右一連の手続関係からみれば、右九五九条一項の規定は、相続人が存在しないこと、並びに、相続債権者及び受遺者との関係において一切の清算手続を終了した上、なお相続財産がこれを承継すべき者のないまま残存することが確定した場合に、右財産が国庫に帰属することを定めたものと解すべきである。
 他方、法二五五条は、「共有者ノ一人カ......相続人ナクシテ死亡シタルトキハ其持分ハ他ノ共有者ニ帰属ス」と規定しているが、この規定は、相続財産が共有持分の場合にも相続人不存在の場合の前記取扱いを貫くと、国と他の共有者との間に共有関係が生じ、国としても財産管理上の手数がかかるなど不便であり、また、そうすべき実益もないので、むしろ、そのような場合にはその持分を他の共有者に帰属させた方がよいという考慮から、相続財産の国庫帰属に対する例外として設けられたものであり、法二五五条は法九五九条一項の特別規定であったと解すべきである。
したがって、法二五五条により共有持分である相続財産が他の共有者に帰属する時期は、相続財産が国庫に帰属する時期と時点を同じくするものであり、前記清算後なお当該相続財産が承継すべき者のないまま残存することが確定したときということになり、法二五五条にいう「相続人ナクシテ死亡シタルトキ」とは、相続人が存在しないこと、並びに、当該共有持分が前記清算後なお承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときと解するのが相当である。
 ところで、昭和三七年法律第四〇号による法の一部改正により、特別縁故者に対する財産分与に関する法九五八条の三の規定が、相続財産の国庫帰属に至る一連の手続の中に新たに設けられたのであるが、同規定は、本来国庫に帰属すべき相続財産の全部又は一部を被相続人と特別の縁故があった者に分与する途を開き、右特別
縁故者を保護するとともに、特別縁故者の存否にかかわらず相続財産を国庫に帰属させることの不条理を避けようとするものであり、そこには、被相続人の合理的意思を推測探究し、いわば遺贈ないし死因贈与制度を補充する趣旨も含まれているものと解される。
 そして、右九五八条の三の規定の新設に伴い、従前の法九五九条一項の規定が法九五九条として「前条の規定によつて処分されなかつた相続財産は、国庫に帰属する。」と改められ、その結果、相続人なくして死亡した者の相続財産の国庫帰属の時期が特別縁故者に対する財産分与手続の終了後とされ、従前の法九五九条一項の
特別規定である法二五五条による共有持分の他の共有者への帰属時期も右財産分与手続の終了後とされることとなったのである。この場合、右共有持分は法二五五条により当然に他の共有者に帰属し、法九五八条の三に基づく特別縁故者への財産分与の対象にはなりえないと解するとすれば、共有持分以外の相続財産は右財産分与の対象となるのに、共有持分である相続財産は右財産分与の対象にならないことになり、同じ相続財産でありながら何故に区別して取り扱うのか合理的な理由がないのみならず、共有持分である相続財産であっても、相続債権者や受遺者に対する弁済のため必要があるときは、相続財産管理人は、これを換価することができるところ、これを換価して弁済したのちに残った現金については特別縁故者への財産分与の対象となるのに、換価しなかった共有持分である相続財産は右財産分与の対象にならないということになり、不合理である。さらに、被相続人の療養看護に努めた内縁の妻や事実上の養子など被相続人と特別の縁故があった者が、たまたま遺言等がされていなかったため相続財産から何らの分与をも受けえない場合にそなえて、家庭裁判所の審判による特別縁故者への財産分与の制度が設けられているにもかかわらず、相続財産が共有持分であるというだけでその分与を受けることができないというのも、いかにも不合理である。これに対し、右のような場合には、共有持分も特別縁故者への財産分与の対象となり、右分与がされなかった場合にはじめて他
の共有者に帰属すると解する場合には、特別縁故者を保護することが可能となり、被相続人の意思にも合致すると思われる場合があるとともに、家庭裁判所における相当性の判断を通して特別縁故者と他の共有者のいずれに共有持分を与えるのが妥当であるかを考慮することが可能となり、具体的妥当性を図ることができるのである。
 したがって、共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、法九五八条の三の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、法二五五条により他の共有者に帰属することになると解すべきである。
四 以上によれば、大阪家庭裁判所岸和田支部の財産分与の審判を原因とする上告人らの登記申請を事件が登記すべきものでないとしてした本件却下処分は違法であるところ、これを適法であるとした原判決には、法二五五条及び法九五八条の三の各規定の解釈適用を誤った違法があり、右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。