刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 2320

乙:今日の問題は、令和4年予備試験刑事訴訟法第20問イです。

 

次の【事例】における公訴時効について述べた(中略)
【事例】
甲及び乙は、令和3年1月5日、V方に侵入してVに暴行を加える旨の共謀を遂げ、同日夜、V方に侵入し、同月6日未明、帰宅したVに対して暴行を加え、傷害を負わせた。
【記述】
イ.検察官が甲及び乙を傷害の事実により起訴した場合、住居侵入罪の公訴時効は停止しない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:You've got to sing it at the top of your lungs, oh oh

 

出典:https://youtu.be/3WOR_OwJN10

 

感想:アルクによると、at the top of one's lungsは、声を限りに、などの意味です。

 

乙:最判昭和56年7月14日は

 

「刑訴法二五四条が、公訴時効の停止を検察官の公訴提起にかからしめている趣旨は、これによつて、特定の罪となるべき事実に関する検察官の訴追意思が裁判所に明示されるのを重視した点にあると解されるから、起訴状の公訴事実の記載に不備があつて、実体審理を継続するのに十分な程度に訴因が特定していない場合であつても、それが特定の事実について検察官が訴追意思を表明したものと認められるときは、右事実と公訴事実を同一にする範囲において、公訴時効の進行を停止する効力を有すると解するのが相当である。本件についてこれをみると、旧起訴状公訴事実中には、本件公訴事実第一を特定するうえで重要な「表示登記」という文言が一度も使用されておらず、かえつて、同第二を特定するうえで重要な「保存登記」という文言がくり返し使用されていて、そのいずれについてなされた公訴提起であるのか一見まぎらわしく、訴因の特定が十分でないことは否定することができないけれども、右起訴状公訴事実に記載された犯行の日時、場所、方法及び不実登記の対象となる建物は、すべて本件公訴事実第一のそれと同一であること、その結果としてなされた不実登記の内容も、建物の所有名義を偽るという点で両者は共通していること、さらに、旧起訴審において、検察官が、公訴事実中「保存登記」とあるのは「表示登記」の誤記であるとの釈明をし、その旨の訴因補正の申立をしていることなどを総合考察すると、旧起訴によつて検察官が本件公訴事実第一と同
一性を有する事実につき公訴を提起する趣旨であつたと認めるに十分であるから、
これにより右事実に関する公訴時効の進行が停止されたとする原審の判断は、正当
である。
 なお、所論は、本件旧起訴に対する前記確定判決のいわゆる内容的確定力を援用
し、前記確定判決の判断内容と異る判断をした原判決に法令解釈の誤りがあるとす
るのであるが、前記確定判決の理由中本件の受訴裁判所を拘束するのは、旧起訴は
実体審理を継続するのに十分な程度に訴因が特定されていないという判断のみであ
り、右判断を導くための根拠の一つとして挙げられた、旧起訴状の公訴事実によつ
ては併合罪関係に立つ建物の表示登記と保存登記に関する各公正証書原本不実記載・
同行使罪のいずれについて起訴がなされたのか一見明らかでない、という趣旨に解
し得る部分は、本件の受訴裁判所を拘束しないと解すべきであるから、旧起訴によ
つて、本件公訴事実第一と同一性を有する事実につき公訴時効の進行が停止された
とする原審の判断が、右確定判決のいわゆる内容的確定力に抵触するものとはいえ
ない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。