刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2369

乙:今日の問題は、令和3年司法試験民法第11問ウです。

 

AがBに賃貸しているA所有の甲建物にCのための抵当権が設定され,その登記がされている。この場合における抵当権に基づくCの物上代位権の行使に関する(中略)
ウ.Bが甲建物をDに転貸した場合,Cは,BをAと同視することが相当であるときを除き,BのDに対する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができる。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:Where do you get off?

 

出典:https://youtu.be/WRueisbYNWE

 

感想:アルクによると、get offは、~から降りる◆バスや電車から降りるときはget offを使い、車から降りるときはget outを使うのが一般的、などの意味です。

 

乙:民法372条は

 

「第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。」

 

同法304条は

 

「先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。」

 

と、規定しています。

 

最判平成12年4月14日は

 

「 民法三七二条によって抵当権に準用される同法三〇四条一項に規定する「債務者」には、原則として、抵当不動産の賃借人(転貸人)は含まれないものと解すべきである。けだし、所有者は被担保債権の履行について抵当不動産をもって物的責任を
負担するものであるのに対し、抵当不動産の賃借人は、このような責任を負担するものではなく、自己に属する債権を被担保債権の弁済に供されるべき立場にはないからである。同項の文言に照らしても、これを「債務者」に含めることはできない。また、転貸賃料債権を物上代位の目的とすることができるとすると、正常な取引により成立した抵当不動産の転貸借関係における賃借人(転貸人)の利益を不当に害することにもなる。もっとも、所有者の取得すべき賃料を減少させ、又は抵当権の行使を妨げるために、法人格を濫用し、又は賃貸借を仮装した上で、転貸借関係を作出したものであるなど、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合には、その賃借人が取得すべき転貸賃料債権に対して抵当権に基づく物上代位権を行使することを許すべきものである。
 以上のとおり、【要旨】抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使することができないと解すべきであり、これと異なる原審の判断には、原決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり、原決定は破棄を免れない。そして、抗告人が本件建物の所有者と同視することを相当とする者であるかどうかについて更に審理を遂げさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。