刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 472

乙:今日の問題は、プレからで、2問あります。

2.AがBに100万円を贈与し,「昨年死亡したCが生き返ったときは返還するものとする。」との条件を付した場合,この契約は無効である。
3.AB間で,Bの仲介によりAC間で甲土地の売買契約が成立したら,AがBに報酬を支払うと約した場合において,Aが自らCよりも条件の良いDとの間で売買契約を成立させたとしても,AはBに対し報酬を支払わなくてもよい。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:寒中見舞ほしい。。



乙:2について、民法133条2項は

「不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。」

と、規定しています。


「たとえば,田舎から出てきて東京で司法試験の受験勉強をしている甥に,叔母が,「東京のマンションを贈与するけれど,もし来年受からなかった場合は返してくれ」という条件を付けたとする.この場合,贈与契約の効力は契約成立と同時に生ずるが,一定の,発生するかどうか不確実な事実が発生すれば,効力を失うという条件がついている.これを解除条件という.」

内田貴『民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論』300頁



3について、民法130条は

「条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。」

と、規定しています。


「仮りに右訴外中山繁明との前記売買契約が未だその効力を発生していなかつたとするも、右売買契約は昭和三十一年十月十日までには有効となることに確定していたものであるにかかわらず、被告は右契約が存在する事実を知りながら、その直後頃本件山林を原告を介せず、自ら他に売却譲渡し、その所有権移転登記も完了し」
(最高裁判所民事判例集18巻1号107頁)

た事案で、

最判昭和39年1月23日は

「してみれば、上告人の前示斡旋事務の処理は、その事務の進行の程度如何にかかわらず、被上告人のDに対する右の売却に因り履行不能に陥つたものと解すべきであるから、被上告人は故意に前示停止条件の成就を妨げた」

と、判示しています。

本問では、Dに対する甲土地の所有権移転登記が完了していないので、BのAに対する債務は履行不能に陥っていません。

したがって、上記記述は、2が誤りで、3が正しいです。