刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 489

乙:今日の問題は、5問あります。

ア.建物の建築請負契約において,仕事の目的物である建物に瑕疵があり,そのために契約した目的を達することができないときは,注文者は,そのことを理由として契約の解除をすることができる。
イ.委任契約が受任者の利益のためにも締結された場合であっても,委任者は,やむを得ない事由があるときには,契約を解除することができる。
ウ.組合契約の解除の効力は,将来に向かってのみ生ずる。
エ.履行遅滞による契約の解除をするに先立ち,期間を定めて履行の催告をしたが,その期間が不相当に短かった場合であっても,催告時と解除時の間に相当な期間が経過していれば,解除は有効である。
オ.動産の売買契約が締結され,売買代金の一部が支払われた後で,当該売買契約が売主の債務不履行を理由に解除された場合,売主は,買主の損害を賠償する義務を負うが,受領した売買代金の一部を返還するに当たっては,その受領の時からの利息を付す必要はない。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?


甲:おおいね。

乙:アについて、民法635条は

「仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。」

と、規定しています。

イについて、民法651条は

「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。」

と、規定しています。

最判昭和43年9月20日は

「合名会社D商事をも含めた訴外E建設株式会社に対する債権者が、右E建設の事業を継続せしめてその再建をはかることにより自らの債権の満足をえようとして、D商事の代表者FらがE建設よりその経営一切の委任を受けたというのであり、右委任に基づいてFらは本件請負工事を続行したというのであるから、本件委任事務の処理は、委任者の利益であると同時に受任者の利益でもある場合にあたるものというべきである。そして、委任が当事者双方の対人的信用関係を基礎とする契約であることに徴すれば、右のような場合においても、受任者が著しく不誠実な行動に出た等やむをえない事由があるときは、委任者は民法六五一条に則り委任契約を解除することができる

と、判示しています。

ウについて、民法684条は

「第六百二十条の規定は、組合契約について準用する。」

同法620条は

「賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合において、当事者の一方に過失があったときは、その者に対する損害賠償の請求を妨げない。」

と、規定しています。

エについて、民法541条は

「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」

と、規定しています。

最判昭和44年4月15日は

「債務不履行を理由とする契約解除の前提としての催告に定められた期間が相当でない場合であつても、債務者が催告の時から相当の期間を経過してなお債務を履行しないときには、債権者は契約を解除することができるものと解すべきである。」

と、判示しています。

オについて、民法545条1項2項は

「当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。」

と、規定しています。

したがって、上記記述は、イとウとエが正しく、アとオが誤りです。