刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 503

乙:酪王カフェオレアイスって、その後、どうなったのでしょうね。

今日の問題は、2問あります。

3. 使用者は,被用者の加害行為が被用者の職務権限内で適法に行われたものでないこと及び加害行為時に被害者がそのことを知っていたか,知らないことに過失があったことを証明すれば,責任を免れる。
4. 被用者の加害行為に先立って使用者から代理監督者に監督権限が授与されたことを被害者が証明した場合であっても,代理監督者は,被用者の選任及び監督について相当の注意をしたことを証明すれば,責任を免れる。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:(乙さんのとうれんのせいせきがしんぱい。。)

乙:3について、最判昭和42年11月2日は

「被用者のなした取引行為が、その行為の外形からみて、使用者の事業の範囲内に属するものと認められる場合においても、その行為が被用者の職務権限内において適法に行なわれたものでなく、かつ、その行為の相手方が右の事情を知りながら、または、少なくとも重大な過失により右の事情を知らないで、当該取引をしたと認められるときは、その行為にもとづく損害は民法七一五条にいわゆる「被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害」とはいえず、したがつてその取引の相手方である被害者は使用者に対してその損害の賠償を請求することができない(中略)被上告人は右Eから、上告銀行がみずから手形割引をするのではなくして、第三者による手形割引の斡旋をするにすぎないことを告げられながら、これを承諾して被上告人振出の本件手形を交付したものであること、右手形はいずれも融通手形にすぎなかつたところ、被上告会社およびその子会社であるF物産株式会社の関係者と右Eとが通謀して、右F物産株式会社に裏書をさせ商業手形としての体裁をそなえさせたこと、被上告人は本件の取引より以前には上告銀行D支店とは全く取引関係がなく、かつ、右手形はその額面合計額が金三、〇〇〇万円にも達する高額のものであつたにかかわらず、被上告人は、右取引につき、右Eから約定書の差し入れ、担保物の提供等は全然要求されなかつたこと、さらに右取引については、被上告会社の常務取締役(経理部長であつたGことH、その経理課長であつたIが直接右Eと折衝していること、をそれぞれ認定している。これらの事実を総合して考察し、ことにその職務上金融取引につき相当の知識と経験とを有するものと推認される被上告会社の常務取締役(経理部長)および経理課長が直接右取引に関与していることを考えると、本件の取引に当たつては、その相手方たる被上告人の側においても、右取引におけるEの行為が上告銀行のD支店長としての職務権限を逸脱して行なわれたものであることを知つていたか、または、重大な過失によりこれを知らなかつたものと認めるべきではないか、との疑問が生ずるのを禁じえない。
そして、もし右の点を肯定的に認定することができるとするならば、かりに本件の取引行為が外形上上告銀行の事業の範囲内の行為に属するものと認められるとしても、なお被上告人は、右Eの使用者たる上告人に対して、本件取引行為にもとづく損害の賠償を請求することができないものといわざるをえない。」

と、判示しています。


4について、民法715条1項、2項は

「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。」

と、規定しています。

「被告(A)は,「使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をした」こと(1項但書前段),または「相当の注意をしても損害が生ずべきであった」(1項但書後段)ことを立証すれば,免責されるとされている.」

内田貴『民法Ⅱ 第2版 債権各論』455頁


したがって、上記記述は、3が誤りで、4が正しいです。