乙:今日の問題は、3問あります。
1. 殺人と傷害の併合罪を犯した者について,殺人につき有期懲役刑,傷害につき懲役刑をそれぞれ選択した場合,処断刑は,5年以上30年以下の懲役となる。
3. 強盗致傷を犯した者について,有期懲役刑を選択して酌量減軽した場合,処断刑は,3年以上10年以下の懲役となる。
5. 刑の執行猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ,その刑について執行猶予の言渡しがないときは,猶予の言渡しを取り消さなければならない。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:(乙さんは、けいばつろんが、にがてみたいね。。)
乙:1について、刑法199条は
「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」
同法12条1項は
「懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。」
同法204条は
「人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」
同法47条前段は
「併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。」
同法10条2項は
「同種の刑は、長期の長いもの又は多額の多いものを重い刑とし、長期又は多額が同じであるときは、短期の長いもの又は寡額の多いものを重い刑とする。」
と、規定しています。
「短期については,上述のような加重はしない。しかし,併合罪加重の基本となった罪よりも刑の短期が重い罪がある場合には,その併合罪の処断刑の短期は当然その重いものによると解されている(東京高判昭35・4・19高刑集13巻3号255頁)。」
司法協会『刑法総論講義案』(三訂補訂版)409頁
3について、刑法240条は
「強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」
同法12条1項は
「懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。」
同法66条は
「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。」
同法68条3号は
「法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
三 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。」
と、規定しています。
5について、刑法26条柱書本文、1号は
「次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。
一 猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。」
と、規定しています。
したがって、上記記述は、1も3も5も正しいです。