刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 523

乙:今日の問題は

甲が,自己が所有し,登記簿上も自己が所有権者となっている土地を乙に売却し,その売買代金の受領を終え,当該土地の所有権が乙に移転した後,乙がその移転登記を完了する前に,甲が,事情を知った丙に当該土地を売却し,丙がその移転登記を完了した場合には,丙が当該土地の所有権の取得を乙に対抗できるか否かにかかわらず,甲には横領罪が成立する。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:つかれた。。

乙:刑法252条1項は

「自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。」

と、規定しています。

最判昭和30年12月26日は

「不動産の所有権が売買によつて買主に移転した場合、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主はその不動産を占有するものと解すべく、従つていわゆる二重売買においては横領罪の成立が認められるとする趣旨は、大審院当時くりかえし判例として示されたところであり、この見解は今なお支持せられるべきものである(例えば大正一一年(れ)第五号、同年三月八日判決、刑集一巻一号一二四頁。昭和六年(れ)第一七七六号、同七年三月一一日判決、刑集一一巻一六七頁。昭和七年(れ)第二四二号同年四月二一日判決、刑集一一巻三四二頁等参照)。本件について原判決の是認する第一審の確定した事実は、被告人は判示のように本件山林を浜田軍治に売却したのであるが、なお登記簿上被告人名義であるのを奇貨とし、右山林をさらに西村梅吉に売却したというのであるから、原審が横領罪の成立を認めたのは相当であつてなんら誤はない。」

と、判示しています。

したがって、上記記述は、正しいです。