乙:今日の問題は
盗品等無償譲受け罪が成立するためには,無償譲受けについて契約を締結しただけでは足りず,盗品等が現実に移転されることが必要であるが,盗品等有償譲受け罪は,有償譲受けについて契約を締結しただけで成立する。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:(あべんじゃーずみようかな。。)
乙:後段について、刑法256条は
「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。」
と、規定しています。
大判大正12年4月14日は
「刑法第二百五十六條」
「ニ所謂故買トハ賣買交換ノミニ因ル贓物ノ取得ノミニ限ラス其ノ他ノ形式ニ於ケル有償取得ヲ汎稱シ」
大判昭和14年12月22日は
「贓物罪ノ本質ハ贓物ヲ輾轉シテ被害者ノ返還請求權ノ行使ヲ困難又ハ不能ナラシムルニ在ルガ故ニ,贓物故買罪ガ成立スルニハ情ヲ知リテ賣買、交換等有償行爲ニ依リ贓物ヲ受領スルコトヲ要シ、單ニ贓物ノ賣買ヲ約スルノミヲ以テハ未ダ同罪ノ成立ナキコト所論ノ如シ。既往ノ判例ヲ顧ルニ右ト異リ贓物故買罪ハ贓物タルノ情ヲ知リテ有償名義ヲ以テ之ヲ取得スルニ因リテ構成セラルルモノニシテ、必シモ其ノ物件ヲ自己ノ占有ニ移シ入ルルコトヲ要スルモノニ非ズト説ケルモノ之ナキニ非ズト雖、所論大正十二年一月二十五日第二刑事部判決(判例集第二巻第一號二一頁)ニ依リテ自ラ變更ヲ受ケタルモノト解スルヲ相當トス。今原判文ヲ檢スルニ單ニ贓物タルノ情ヲ知リナガラ買受ケ云云ト判示シアルコト亦所論ノ如シト雖、其ノ全判文ヲ通讀スルトキハ其ノ「買受ケ」ノ語裡ニハ現實ノ贓物ノ受領アリタルコトヲ看取シ得ラレザルニ非ザルヲ以テ、原判決ニハ所論ノ如キ違法存在セズ。」
と、判示しています。
後段は誤りです。
したがって、上記記述は、誤りです。