刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 582

乙:今日の問題は

甲は,自己の所有する土地の登記記録を改ざんしようと考え,法務局の担当登記官である乙にその情を打ち明けて記録の改ざんを依頼し,乙に登記簿の磁気ディスクに内容虚偽の記録をしてもらった。判例の立場によると,甲には電磁的公正証書原本不実記録罪,同供用罪の共同正犯が成立する。

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:(おつさんのかいせつは、ふしんせつだね。。)

乙:刑法60条は

「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」


同法65条1項は

「犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。」

同法156条は

「公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。」

同法155条1項は

「行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。」


同法161条の2は

「人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
4 前項の罪の未遂は、罰する。」

と、規定しています。


大判明治44年4月27日は

「公務員ト共謀シテ其公務員ノ職務ニ關シ虛僞ノ文書ヲ作成スルニ於テハ刑法第六十五條第一項ノ規定ニヨリ公務員ニアラサルモノモ亦公務員其職務ニ關シ虛僞ノ文書ヲ作リタル罪ノ正犯タルヲ免レサル」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、誤りです。