刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 618

乙:甲先生と、マザー牧場の桃色吐息を見に行きたいです。

今日の問題は、2問あります。

2. 共同相続人の一人が他の共同相続人の全部又は一部の者の後見をしている場合,後見人が被後見人全員を代理してする相続の放棄は,後見人自らが相続の放棄をした後にされたときは,後見人と被後見人との間において利益相反行為に当たらない。
3. 親権者が未成年の子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為は,親権者による利益相反行為に当たる。



甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:(乙さんは、ねんれいせいげんのせいで、まほうしょうじょになれないね。。)

乙:民法826条は

「親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。」

と、規定しています。


2について、民法108条は

「同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。」

同法860条は

「第八百二十六条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。」

と、規定しています。

最判昭和53年2月24日は

「共同相続人の一部の者が相続の放棄をすると、その相続に関しては、その者は初めから相続人とならなかつたものとみなされ、その結果として相続分の増加する相続人が生ずることになるのであつて、相続の放棄をする者とこれによつて相続分が増加する者とは利益が相反する関係にあることが明らかであり、また、民法八六〇条によつて準用される同法八二六条は、同法一〇八条とは異なり、適用の対象となる行為を相手方のある行為のみに限定する趣旨であるとは解されないから、相続の放棄が相手方のない単独行為であるということから直ちに民法八二六条にいう利益相反行為にあたる余地がないと解するのは相当でない。これに反する所論引用の大審院の判例(大審院明治四四年(オ)第五六号同年七月一〇日判決・民録一七輯四六八頁)は、変更されるべきである。しかしながら、共同相続人の一人が他の共同相続人の全部又は一部の者を後見している場合において、後見人が被後見人を代理してする相続の放棄は、必ずしも常に利益相反行為にあたるとはいえず、後見人がまずみずからの相続の放棄をしたのちに被後見人全員を代理してその相続の放棄をしたときはもとより、後見人みずからの相続の放棄と被後見人全員を代理してするその相続の放棄が同時にされたと認められるときもまた、その行為の客観的性質からみて、後見人と被後見人との間においても、被後見人相互間においても、利益相反行為になるとはいえない」

と、判示しています。


3について、最判昭和37年10月2日は

「親権者が子の法定代理人として、子の名において金員を借受け、その債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に借受金を親権者自身の用途に充当する意図であつても、かかる意図のあることのみでは、民法八二六条所定の利益相反する行為とはいえないから、子に対して有効であり、これに反し、親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効であると解すべきである。」

最判昭和35年7月15日は

「原判決の認定するところによれば、上告人の親権者(母)であつたDは、当時その夫であつたE(上告人には継父にあたる)が被上告人から金員を借受けるについて、上告人の法定代理人として、上告人を債務者とし、上告人所有の本件各不動産に抵当権を設定し、かつ判示賃借権設定の契約を締結し、それぞれ判示登記を経由したというのであるが、右金銭貸借、抵当権設定等は、Dはその夫たるEのためにしたものであつて、D自身の利益のために為されたものでないことは原判決の認定するところである。とすれば、右の行為をもつて、親権者たるDと上告人との間の民法八二六条にいわゆる「利益が相反する行為」というにあたらないとした原判決は正当であつて、論旨は採用することはできない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、2が正しく、3が誤りです。