乙:今日の問題は
Aは,Bに対する債権の担保としてCが所有する甲土地に抵当権の設定を受け,その登記をしていたが,Bから被担保債権全額の弁済を受けたにもかかわらず,Bに対する債権をDに譲渡し,Bは,その債権譲渡について異議をとどめないで承諾した。この場合,Cは,Dに対し,抵当権抹消登記をしなくても抵当権の消滅を主張することができる。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:しゅとくしちゃうぞ!
乙:民法468条1項は
「債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。」
と、規定しています。
最判平成4年11月6日は
「抵当権は、被上告人がその被担保債権である本件貸付金債権を代位弁済したことによって消滅したところ、上告人A2がその後にDから当該貸付金債権の譲渡を受け、債務者である上告人A1が異議を留めずに債権譲渡を承諾しても、これによって上告人A1が上告人A2に対して本件貸付金債権の消滅を主張し得なくなるのは格別、抵当不動産の第三取得者である被上告人に対する関係において、その被担保債権の弁済によって消滅した本件抵当権の効力が復活することはない」
と、判示しています。
したがって、上記記述は、正しいです。