刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 674

乙:室料20%OFFクーポンをもらいました。

今日の問題も、4問あります。

ア.AからB,BからCに甲土地が順次売却され,それぞれその売買代金が支払われたが,所有権の登記名義がAのままである場合,Cは,Bに代位して,Aに対し,AからBへの所有権移転登記手続を請求することはできない。
ウ.Aは,Bから代理権を与えられていないのに,Bの代理人として,Cとの間で,B所有の甲土地にCの債権を担保するための抵当権設定契約を締結し,その旨の登記がされた。この場合において,Bがその抵当権設定契約を追認したときは,Bは,Cに対し,その抵当権設定の登記の無効を主張することはできない。
エ.Aは,B所有の土地上に権原なく建物を建築して居住しているが,Cと通謀してその建物についてAからCへの所有権移転登記をした。Cが実際にはその建物を所有したことがない場合でも,Cは,Bに対し,建物収去土地明渡の義務を負う。
オ.Aは,その所有する甲建物の滅失後に新築した乙建物について,新たな保存登記をせずに甲建物の登記を流用して,Bとの間で,停止条件付代物弁済契約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記をし,その後,代物弁済を原因として仮登記に基づく本登記をした。この場合,その本登記は無効である。



甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:ぼえー。。

乙:アについて、大判明治43年7月6日は

「本件ノ事実ハ原審ニ於テ確定シタル所ニ依レハ上告人ハ本件ノ土地ヲ清宮善兵衛ニ売渡シ善兵衛ハ更ニ之ヲ被上告人ニ売渡シタルモ其二箇ノ売買ニ因ル所有権移転ノ登記ハ何レモ未タ其手続ヲ為ササルモノナリ故ニ善兵衛ハ上告人ニ対シ又被上告人ハ善兵衛ニ対シ各売買ニ因ル所有権移転ノ登記手続ヲ請求スルノ権利ヲ有スルモ後ノ売買ニ因ル登記ハ登記法上前ノ売買ニ因ル登記ヲ経タル後ニ非サレハ之ヲ為スコト能ワサルヲ以テ上告人及ヒ善兵衛カ其両人間ノ売買ニ因ル登記ヲ為ササルトキハ被上告人ハ民法第四百二十三条ノ規定ニ依リ善兵衛ニ対スル登記手続ノ請求権ヲ保全スル為メ善兵衛ノ上告人ニ対スル登記手続ノ請求権ヲ行使スルコトヲ得ルモノト謂ワサル可ラス上告論旨ノ要領ハ其第一点ニ於テハ同条ニ所謂債権ハ金銭上ノ債権ノ如ク債権ノ目的ヲ達スルコトカ一ニ債務者ノ財産資力ノ有無ニ繋ルモノナラサルヘカラス其第二点ニ於テハ同条ニ所謂債務者ノ権利ハ一般債権者ノ共同担保ト為ルヘキモノナラサルヘカラス其第三点ニ於テハ同条ノ適用アル場合ハ必ス債務者ノ無資力ナルコトヲ前提トス其第五点ニ於テハ被上告人カ善兵衛ニ対シテ有スル本件土地所有権移転ノ登記手続ヲ請求スル権利ハ債権ニ非スシテ所有権ニ基ク一種ノ権能ナリト云ウニ在リ然レトモ同条ニハ単ニ債権者ハ自己ノ債権ヲ保全スル為メ云云トアルノミニシテ其債権ニ付キ別ニ制限ヲ設ケサルヲ以テ同条ノ適用ヲ受クヘキ債権ハ債務者ノ権利行使ニ依リテ保全セラルヘキ性質ヲ有スレハ足ルモノニシテ第一点所論ノ如キ債務者ノ資力ノ有無ニ関係ヲ有スルト否トハ必スシモ之ヲ問ウヲ要セス又債権者カ行使シ得ヘキ債務者ノ権利ニ付テハ同条但書ヲ以テ債務者ノ一身ニ専属スル権利ヲ除外シタルニ止マリ其他ニ制限ヲ設ケサルヲ以テ第二点所論ノ如キ制限アルモノト謂ウヲ得ス又保全セントスル債権ノ目的カ債務者ノ資力ノ有無ニ関係ヲ有スル場合ニ於テハ所論ノ如ク債務者ノ無資力ナルトキニ非サレハ同条ノ適用ヲ必要トセサルヘシト雖モ債務者ノ資力ノ有無ニ関係ヲ有セサル債権ヲ保全セントスル場合ニ於テモ苟モ債務者ノ権利行使カ債権ノ保全ニ適切ニシテ且必要ナル限リハ同条ノ適用ヲ妨ケサルモノト解スルヲ相当トスルヲ以テ第三点所論ノ如キ債務者ノ無資力ナルコトハ必スシモ同条適用ノ要件ニアラス上告人ノ援用スル本院ノ判例ハ保全セントスル債権ノ目的カ債務者ノ資力ノ有無ニ関係ヲ有スル場合ニ関スルモノナルヲ以テ本件ニ適切ナラス本件ニ於テハ善兵衛ノ上告人ニ対スル登記手続ノ請求権ヲ行使スルニ非サレハ被上告人ノ善兵衛ニ対スル登記手続ノ請求権ハ善兵衛ノ資力ノ有無ニ拘ワラス其目的ヲ達スルコト能ワサルヲ以テ前者ノ請求権ノ行使ハ実ニ後者ノ請求権ヲ保全スルニ適切ニシテ且必要ナルヤ明ケシ而シテ被上告人カ本訴請求ニ於テ保全セントスル権利ハ善兵衛ニ対シ売買ニ因ル所有権移転ノ登記手続ヲ請求スル権利ニシテ即チ一定ノ人ニ対シ一定ノ行為ノ要求ヲ目的トスル一種ノ債権ナリト謂ウ可シ」

と、判示しています。

ウについて、民法113条1項は

「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」

同法116条は

「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」

と、規定しています。

最判昭和42年10月27日は

「 原判決が、その挙示の証拠により、適法に認定したところによると、本件抵当権設定契約は、昭和三三年五月Eが上告人の印顆をほしいままに使用して、被上告人と締結し、かつ、抵当権設定登記申請手続をして、本件抵当権設定登記をしたが、同年一〇月はじめ、被上告人、上告人らが集つて協議の結果、上告人らにおいて被上告人ないしF事業協同組合に対し金四八〇万円の支払義務の存することを認め、もしその支払のないときは右Eが上告人らに無断で被上告人のために設定した本件抵当権設定契約を認めこれにもとづいて実行がされても異議がないことを約して、上告人はEのその無権代理行為を追認した旨の原審の事実判断は正当としてこれを是認することができる。
そして、本人名義の偽造文書によつて無権代理人が抵当権設定登記手続をし、その旨の登記がされたとしても、本人たる登記義務者において、その抵当権設定行為を追認したことにより、右抵当権の設定登記の記載が実体上の権利関係と符合するようになつたときには、その結果、右登記義務者は、その登記をすることを拒みうるような事情がなくなつたものというべきであつて、その抵当権の設定登記の無効を主張することができないと解するのが相当である。
したがつて、前記の事実関係のもとにおいて、上告人は本件抵当権の設定登記を抹消しえない旨を判示した原判決の結論は、結局において、正当である。」

と、判示しています。


エについて、最判昭和47年12月7日は

「建物の所有権を有しない者は、たとえ、所有者との合意により、建物につき自己のための所有権保存登記をしていたとしても、建物を収去する権能を有しないから、建物の敷地所有者の所有権に基づく請求に対し、建物収去義務を負うものではないと解すべきである。
しかるに、原判決は、上告人A1が、本件建物の所有者でないことを認めながら、所有者との合意により、自己のため所有権保存登記をしていることを理由に、同上告人に建物収去義務を認め、同人に対し建物収去土地明渡しを求める被上告人の本訴請求を認容したのである。


と、判示しています。


オについて、最判昭和40年5月4日は

「建物が滅失した後、その跡地に同様の建物が新築された場合には、旧建物の登記簿は滅失登記により閉鎖され、新建物についてはその所有者から新たな所有権保存登記がなさるべきものであつて、旧建物の既存の登記を新建物の右保存登記に流用することは許されず、かかる流用された登記は、新建物の登記としては無効と解するを相当とする。けだし、旧建物が滅失した以上、その後の登記は真実に符号しないだけでなく、新建物についてその後新たな保存登記がなされて、一個の不動産に二重の登記が存在するに至るとか、その他登記簿上の権利関係の錯雑・不明確をきたす等不動産登記の公示性をみだすおそれがあり、制度の本質に反するからである。
原判決の確定した事実によると、本件建物は、訴外Dが昭和三三年六月中旬頃その敷地上にあつた同人所有の従前の建物を取り毀し、同年七月末頃その跡地に建築した新建物であるのに、右Dは右のように取り毀した旧建物について滅失登記をせずに、旧建物の同人所有名義の登記をそのまま新築した本件建物に流用して、上告人のため昭和三四年一一月七日停止条件付代物弁済契約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記ならびに昭和三五年三月二二日代物弁済を原因とする右仮登記に基づく本登記をなしたというのであるから、このような登記は、新建物に関する登記としてはいずれも無効であり、また、右旧登記の流用の際、表示の変更登記により登記簿の表題部が新築建物の構造・坪数と合致するように変更されたとしても、かかる登記の効力は認めがたいとした所論原審の判断は正当である。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アとエが誤りで、ウとオが正しいです。