刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 706

乙:今日の問題も、2問あります。

3. 判例によれば,共同相続人の1人に対する婚姻のための財産の贈与については,それが相続開始の1年前の日より前に行われた贈与であっても,特段の事情のない限り,他の共同相続人は遺留分減殺請求権を行使できる。
4. 遺留分権利者は,相続開始前には遺留分を放棄することができないが,相続開始後は遺留分を放棄できる。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:たやすく。たびにでるべきではないね。。

乙:3について、民法903条1項は

「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。」

同法1030条は

「贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。」

同法1044条は

「第八百八十七条第二項及び第三項、第九百条、第九百一条、第九百三条並びに第九百四条の規定は、遺留分について準用する。」

と、規定しています。

最判平成10年3月24日は

「職権をもって検討すると、民法九〇三条一項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、民法一〇三〇条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となるものと解するのが相当である。けだし、民法九〇三条一項の定める相続人に対する贈与は、すべて民法一〇四四条、九〇三条の規定により遺留分算定の基礎となる財産に含まれるところ、右贈与のうち民法一〇三〇条の定める要件を満たさないものが遺留分減殺の対象とならないとすると、遺留分を侵害された相続人が存在するにもかかわらず、減殺の対象となるべき遺贈、贈与がないために右の者が遺留分相当額を確保できないことが起こり得るが、このことは遺留分制度の趣旨を没却するものというべきであるからである。本件についてこれをみると、相続人である被上告人B1に対する4の土地並びに2及び5の土地の持分各四分の一の贈与は、格別の事情の主張立証もない本件においては、民法九〇三条一項の定める相続人に対する贈与に当たるものと推定されるところ、右各土地に対する減殺請求を認めることが同被上告人に酷であるなどの特段の事情の存在を認定することなく、直ちに右各土地が遺留分減殺の対象にならないことが明らかであるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。」

と、判示しています。


4について、民法1043条1項は

「相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、3が正しく、4が誤りです。