刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 716

乙:ナイス!を頂いたので、嬉しいです。

今日の問題も、2問あります。


イ. 不確定期限の定めのある債権の消滅時効は,債務者が期限の到来を知った時から進行する。
ウ. 債務不履行による損害賠償請求権の消滅時効は,本来の債務の履行を請求することができる時から進行する。



甲先生、よろしくお願いします!


こ、甲先生!?

甲:まねきねこ?

乙:イについて、民法166条1項は

「消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。」

同法412条2項は

「債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う。」

と、規定しています。


ウについて、最判平成10年4月24日は

「契約に基づく債務について不履行があったことによる損害賠償請求権は、本来の履行請求権の拡張ないし内容の変更であって、本来の履行請求権と法的に同一性を有すると見ることができるから、債務者の責めに帰すべき債務の履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始するものと解するのが相当である(大審院大正八年(オ)第五八五号同年一〇月二九日判決・民録二五輯一八五四頁、最高裁昭和三三年(オ)第五九九号同三五年一一月一日第三小法廷判決・民集一四巻一三号二七八一頁参照)。
これを本件についてみるのに、前記事実関係の下においては、上告人が本件土地をEに売却してその旨の所有権移転登記を経由したことにより、本件契約に基づく上告人の売主としての義務は、上告人の責めに帰すべき事由に基づき履行不能となったのであるが、これによって生じた損害賠償請求権の消滅時効は、所有権移転許可申請義務の履行を請求し得る時、すなわち、本件契約締結時からその進行を開始するのであり、また、上告人が平成五年一月二五日ころにした消滅時効の援用は、本来の履行請求権とこれに代わる損害賠償請求権との法的同一性にかんがみれば、右損害賠償請求権についての消滅時効を援用する趣旨のものと解し得るものである。そうすると、右損害賠償請求権は、格別の事情がなければ、上告人の右時効の援用によって消滅することとなるはずのものである。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、イが誤りで、ウが正しいです。