刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 744

乙:追撃お疲れ様でした。

今日の問題は、2問あります。

内閣は,A国との間で,相手国から引渡請求を受けた犯罪人を相互に引き渡す義務を課す犯罪人引渡条約を締結した。ところが,内閣が事後にその承認を国会に求めたところ,国会は,引渡義務の対象から自国民が除外されていないことを理由に,引渡義務の対象から自国民を除外するとの条項を付して,その犯罪人引渡条約を承認するとの議決をした。このような事態に関する(中略)
エ. 条約の内容を確定するのは,内閣の職務に属することであるから,国会が行うことができるのは承認か不承認に限られ,国会は犯罪人引渡条約に新たな条項を加えることは認められていない。
カ. 条約は国会の議決を必要とする一種の法律であるから,後法優先の原則により,新たな条項の付された条約は国内法として効力を持つことになる。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:ろろりーちゃんとねて。。

乙:エについて

「承認に際して,国会は条約を修正することはできないとの見解があるが(国会の憲法論義Ⅱ 4613-18頁),内閣としては,国会による修正を踏まえて,相手国との再交渉を行うか,あるいは条約の成立自体を断念するか(その場合には,結局,不承認とみなされることになる)を選択すればよいのであり,国会に修正権がないと考える必要はない」

長谷部恭男『憲法 第4版』395頁


カについて

「条約締結行為に対する国会の関与の程度が著しく強化された憲法のもとでは、国会は承認権を行使するに際し、条約に修正を加えることも許されると解される。もっとも、条約は相手国との合意によって成立するものであるから、国会の修正といっても、内閣を一応義務づけるにとどまる。したがって、(中略)②事後承認の手続で修正が行われた場合、内閣が成立した条約の改定を申し入れても相手国がそれに応じなければ、条約はそのまま成立することになる。」

芦部信喜『憲法 第四版』299頁


したがって、上記記述は、エは明らかに誤っておらず、カは明らかに誤っています。